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スペイン語文法 番外編 (第一編)

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Monólogo de un pasota == Serie III -18- ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その十八)

    さて、今週もまた引き続き動詞をキーとした慣用句をいくつかご紹介することにしよう。

1. 『estar (uno) que muerde』
    《morder》は、「かじる・かむ・かみつく」だから、《Me ha mordido ese perro》は、「その犬にかまれた」である。しかし、「かむ人がいる」と言うのはこれ如何に?「人がかむ」?リンゴはかむと言わずにかじるだが、確かに「ガムはかむ」とは言う...。犬が人をかんでもニュースにはならないが、人が犬をかむとニュースになるというのはよく言われることだ。ところが、実際の「噛む」という行為ではなく、人というのは、よく人に「かみつく」場合がある。議論などで「くってかかる」場合である。なるほど、それならばこの「かむ人がいる」と言うのもうなずける。しかしながら、この慣用句の場合、若干ニュアンスは異なる。つまり、実際にかみつく(くってかかる)わけではなく、そのような様子・状態を表現しており、『(今にもかみつきそうな)極めて機嫌が悪い』状態を表しているわけだ。

    例) Hoy está tranquila pero ayer mi mujer estaba que mordía.
        (今日は落ち着いているんだがね。うちのかみさん、昨日は手がつけられなかったよ)

2. 『estar en todo』
    「すべてにいる」とは如何に?すべての場所にいるのだから、もうこれは「神」を意味しているとしか思いようがない。あるいは、神のような人のことを言っているのだろうか?しかし、動詞は《estar》であって《ser》ではないのだから、「状態を表現」しているはずだ。しかし、神以外にすべての場所に存在するなんてことが可能なのだろうか?実際のところそれはなかなか難しい。しかし、『あらゆるところに目を配る』、あるいは、『常に色々なところに注意を払う・気を配る』ことは可能だ。これを読んで、「そうか、スペイン語にも気配りに相当する言葉があったのか」と膝を叩いている人もおられることだろう。何事にもおおらかで、細かいことはあまり気にしそうにないラテン系の人たちにだってきめの細かい気配りができる人もいるのだが、どうも日本人の目から見ると、そのような人はいないように見えてしまう。それは、日本人の気配りのレベルが、少々度を通り越していて、ほとんど心配性的な病的気配り性だからではないだろうか。

    例) Ah, sí, me olvidaba por completo. ¡Menos mal que usted está en todo!
        (アッ、そうか、すっかり忘れていましたよ。でも、あなたがすべてに気を配る方で助かりましたよ。)

3. 『sacar en claro』・『sacar en limpio』
    《sacar》と言う動詞も実に多彩な役割を持っていて、その訳も多彩で、まさに『これぞ動詞』と言う感じである。もっとも、ここに紹介する慣用句はそれほど苦にならない句である。直訳でも何を言おうとしているのかがハッキリしている。何故なら、「ハッキリしている状態で(何かを)sacarする」・「きれいな状態で(何かを)sacarする」となるからで、この慣用句に関しては、何の仕掛けもない。このような分かり易い慣用句ばかりならスペイン語も楽である。しかし、そう簡単かつ『”ハッキリ”と”明確”に結論を得る』ことができるものばかりなら、先生はいらないわけで、そうなると、とたんにおまんまの食い上げになる哀れな人間も出てくることになるので、それでは困る。

    例) Estuve hablando con ella toda la tarde, pero la única conclusión que pude sacar en claro; que no quería venir a cenar con nosotros.
        (彼女とずっと午後話していたんだけれど、彼女から唯一明確な回答を得られたのは、我々との夕食には来たくないってことだけだったよ)

    今回はこの辺で終わりにしよう。次回も引き続き動詞をキーワードにした慣用句をみてみることにしよう。ご質問やご意見をお待ちしている。(文責:ancla)

    以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.39号(2004年01月末発行)』に掲載されたものです

 

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