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スペイン語文法 番外編 (第一編)

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Monólogo de un pasota == Serie III -23- ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その二十三)

     さて、さすがに動詞をキーワードにするといくらでもある。今回もまたまた動詞を使った慣用句をみてみることにしよう。今号は初級スペイン語で習うような動詞ばかりを集めてみた

1. 『ir a parar・venir a parar』
     どちらの動詞も非常に一般的な誰でも知っているもので、その間に前置詞が入っているだけの、「動詞+前置詞+動詞不定形」の極めて単純な構文だが、直訳してみると、「止まるために行く」・「止まるために来る」??となり、「泊まりに行く・来る」なら何等問題なく理解できるのだけれど...、っと、いうことになる。単純な言葉と単純な構文であるのに訳が分からない。これこそがまさに慣用句と言われる所以なのだろう

     さてこの慣用句の意味だが、《ir》や《venir》は、「〜しに行く」か「〜しに来る」には違いないし、不定形である《parar》の方も、意味としては「止まる・ストップする」に間違いなく、これらが持つ根元的な意味からはまったく外れていないところが怖い。にもかかわらず、総合的な意味、あるいは、和訳する場合は、いずれも、『(最終的にそこに)辿り着く』というニュアンスを持たせて訳す必要がある。例文を見ていただいた方が理解しやすいかもしれない。特に、《ir》と《venir》のように、方向性が全く逆のものなのに何故意味が同じなのか?を理解するにはこれに限る

     例-1) Este camino va a parar a la playa.
          (この道は浜辺まで続いている)
     例-2) Vienes a parar a lo mismo que decía yo.
          (結局は僕が言っていたのと同じことを言いたいんだろう)

2. 『sin ir más lejos』
     前項とはまた異質の慣用句である。ほとんど直訳そのもので、しかも、比喩的な使用方法のみならず、文字通りの意味、つまり、地理的や時間空間的な場面でも使用可能(例-2)がそれだ)な大変便利な慣用句であるが、必ずこの句を使用しなくても十分に会話は成立するのでそれほど重要な慣用句でもない。しかし、これを付け加えるか否かで、あるいは、会話に挿入する余裕があるかないかによって、話者の能力が見えてくると同時に、使用することで、会話自体が一段と自然かつ馴れた感じになる

     さてそこで、直訳だが、「もっと遠くに行かないで」ということになり、大昔に流行ったジェリー藤尾の名曲《Quiero ir más lejos》に逆らうような意味になっている。つまり、地理上の文字通りの意味としては、『遠くに行くことなく・近場・すぐそば』であり、時空間的な使用としては、「まさに昨日のことだよ《Ayer, sin ir más lejos...》」というものあり、っというわけだ

     例-1) A. ¿Quién lo sabe?
          B. Carlos. Sin ir más lejos.
               (誰がそれを知っているの?)
               (誰あろう、カルロスさ)(カルロスだよ。身近なところではね)
     例-2) Lo encontrarás en la tienda de la esquina, sin ir más lejos.
               (それは角の店屋にあるよ。近いだろう)

4. 『cantar a uno las cuarenta・cantar las cuarenta a uno』
     「1に40を歌う」?いやそうではないでしょう。《uno》は「誰か・ある人」の用法ですから、「誰かに40を歌う」というのが正解? 確かに直訳ではそうです。でも、「40を歌う」というのは何なのか?「私は40才になりました〜〜〜」と高らかに歌う人はあまりいないでしょう...し、20才ならまだしも。しかも、《cantar los cuarenta》と通常の数詞ではない

     この《cantar las cuarenta》というのは、時間でもないにもかかわらず素の数詞に女性形の定冠詞を付けるというのも尋常ではありません。ましてや、実際のところ、この《cuarenta》のあとの単語は、《puntos》という男性名詞なのです。現実の生きた言葉というのは、本当に理解不能です。文法っていったいなんだろう?とあらためて考えさせられます。要は、例外なのですが

     さて、話が横道にそれたが、この《cantar las cuarenta》というのは、《el tute》というスペイン式トランプの遊びの中で、その回の「切り札」になっている「組み札」の(例えば)「キング」と「ナイト」が揃った場合、それを揃えたプレイヤーが《canto las cuarenta》と、その旨を「公表・宣言」することがこの慣用句の起源になっている

     しかし、単に「公表」するというのではなく、この札を揃えると勝負に勝つ可能性が大きくなり、他のプレイヤーにとっては、「お前はもう負けだ」との「宣告」を受けるようなもので、こうしたことから、この慣用句の意味は、『(文句を言うという意味を込め、相手を威圧するように)ハッキリとものを言う』ということになる

     例) El es el único que le ha cantado las cuarenta al presidente.
          (社長に面と向かってものを言ったのは彼だけだ)

     さて、今回はこの辺で終わりにしよう。ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)

     以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.43号(2004年05月末発行)』に掲載されたものです

 

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