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スペイン語文法 番外編 (第一編)

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Monólogo de un pasota == Serie III -29- ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その二十九)

  さて、今回からは液体シリーズを試みてみよう。液体と言えば、王者は何といっても『水』だろう

1. 『ahogarse en un vaso de agua』
  親ゆび姫か一寸法師ならそういうこともあるかもしれないが、通常は、「水の入ったコップの中で溺れる」な〜んてことはあり得ない。こういうありもしないことを考えるのは、通常、ファンタジー作家などなのだろうが、彼らはそれを職業としているので、それは大いに考えていただいて結構なのだが、日常生活でこうした起こり得ないようなこと、つまり、自分は水の入ったコップの中で溺れてしまうのではないだろうか?等ということを常に考えていると、馬鹿にされるのが落ちだ。100歩譲って、哀れみを持ってみられることだろう。「あ〜、なんて心配性な人なのだろう?」と、である

  例) Acaba de incorporarse en el cuerpo así que no tiene experiencia y se ahoga en un vaso de agua.
    (彼は入隊したばかりだからまだ経験不足なのだ。よって、すべてが心配でたまらないのだ)

2. 『de esta agua no beberé』
  スペイン語の未来形の訳語というか、未来形自身の使用方法が実に曖昧である。つまり、それだけ難しいと言うことになるのだが。無論、未来に何が起こるかは不明なので、曖昧=不透明なのは当然のことなのかもしれないが、まったく現在形と同じ様な場面で使用したり、またそのような訳を付けたりすることが多々ある。ここに紹介する未来形の文章はその典型的なものの一つである。つまり、未来、あくまでも、先々のことについて話しているので、未来形が使用されているが、その意味、ニュアンスとしては、実に確かな、現在形でさえも出せないほどの強い確実性が表現されているのである。つまり、「未来永劫何があってもこの水は飲まないぞ」といった実に固い意志の表明である。無論、何百年も後に同じ水を飲みたくても、きっと腐っているか、その前に蒸発して同じ水はないだろうから、それほどまでに大げさな意思表示をして頂かなくても良いのだが…。もっとも、この慣用句は、この強い決意を伝えるためではなく、逆の目的を持って使用される方が多いようだ。つまり、例文にあるような戒めの意味を込めて使用される。そのようなわけで、今回はこの例文自体が慣用句としても使用されるのである

  例) No digas de esta agua no beberé.
    (「絶対」とは言うな) (←「安易に〜をするな。同じ破目に陥るぞ」の戒めを込めて発せられる)

3. 『estar (nadar) entre dos aguas』
  通常は《agua》は数えないので、《dos aguas》とか《tres aguas》はあり得ない。また「水」は数えられるものではない。それはスペイン語のみならず日本語でも同じである。にもかかわらず、この「水」に数字がついているというのは実に面白い。スペイン語は、通常あり得ないものでも、文法的には問題ないので、このように簡単に数を付けられてしまう。数えられないものに数をつけると、日本語では数えるものによって表現が変わるので、この場合だと「二つの水の間」というふうに「つ」くらいでしか表現しようがない。もっとも、この慣用句で使用されている《agua》は、いわゆる「水」ではなく、「流れ」・「流派」・「筋」等々を表している。ものが「水」だけに少々つかみ所がないので、例文を二種類にしてみた

  例-1) A ver si tomas una decisión y dejas de nadar entre dos aguas.
    (さて、ぼちぼち決心してその中途半端な状況から抜け出したらどうだ)

  例-2) Estaré entre dos aguas ya que él me da trabajo y ella me da de comer.
    (彼は仕事をくれるし、彼女は食わせてくれるので、僕は両方の味方でいるよ)

  さて、今回はこの辺で終わりにしよう。ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)

  以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.53号(2005年03月末発行)』に掲載されたものです

 

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