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スペイン語文法 (番外編) 馬耳東風 海ちゃん スペインの慣用句 マヤ暦のページ


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Monólogo de un pasota == Serie III -40 ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その四十)

  さてさて、キーワードを何にしようかと悩みに悩んだ結果、非常に姑息な方法を思いついた。今回で40回目の掲載になるわけだから、アイデアも尽きてくるわけで、その辺りはお許し頂きたい。さて、それでその姑息な方法とは?それは、「c」で始まる単語を拾っていくという方法だ。アルファベット順なら「a」からなのだが、aやbは結構少ない。そこで「c」は順番からもまた慣用句の数としてもかなり多い部類に属する文字なので「c」から始めることにした。この方法ならばこの後もあまり心配しなくてすみかもしれない

1. 『cabo suelto』
  「cabo」は何かの先端である。したがって、陸地の先端は「岬」なので、スペイン語でも「cabo」という。スペイン語を学び始めて割に早い段階で出てくる熟語に「al cabo de(=〜の後で)」がある。「岬」よりも先に学ぶ人もいるかも知れない名詞だ。一方「suelto」は動詞(soltar=放つ・放す)の過去分詞形であると同時に、当然のことながら形容詞だ。つまり、「放たれた(何かの)端」がこの慣用句の意味になるのだが、そのままでは脳もなければ、なんら面白くもない。「放たれた」と訳したが、これは、過去分詞形動詞が受身となって形容詞になっているからだ。そう考えれば、「放たれた」は決して「鼻垂れた」ではなく、「放置された状態にあるもの」であることが分かる。つまり、何等かの先端が放置されたままの状態であるわけだが、そこはやはり慣用句なのでそのままずばりの意味ではなく、『未決済(未解決)の事項』となるわけだ

  例) La trama de esta novela está mal desarrollada; deja muchos cabos sueltos.
    (この小説の筋の運び方は良くないよ。だって物事を解決せずにドンドンと話を進めていくんだから)

2. 『abrir calle』
  「abrir puerta」が扉を開けるだから、『通りを開ける』あるいは『道を開く』となるのだろうか?「なるほど。それならば、この慣用句は簡単そうだ。すべてがこうあってほしいものだ」と考えるのが素人考えであり、「慣用句というのはそうは問屋が卸さないから慣用句なのである」と考えるのも、今度は穿った考えなのかも知れない。「いったいどっち!!」とイライラしている読者もおられるかも知れない。実はその両方をミックスしたような意味だって存在するわけだ。モーゼではないのだから、そう簡単には海に通り道を作ったりは出来ない。しかし、誰だって、特に人口の密集している都会に住む人ならばきっと経験もあるだろう。大勢の人を『かき分けて道を開』いたことが

  例) Los vecinos, orgullosos de tener un héroe entre los suyos, le abrieron calle de honor, arrojando a su paso flores y exclamaciones de júbilo.
    (近所の人は、ご近所さんから英雄が出たことを大いに誇りに思い、敬意を表して道を開け、彼の行進に花を撒き歓喜の声を浴びせた)

3. 『caer en cama / estar en (guardar) cama』
4. 『hacerle (a uno) la cama』
  3の慣用句では前置詞が実に重要な役目をしている。前置詞が存在しない言語を持つ我々にはなかなか理解し難い。「前置詞。されど前置詞」だ。この句に「en」がなければまったく違う意味になる。ベッド自体が倒れることになるからだ。もっとも、ベッドが自分で勝手に「倒れる・落ちる」のか?誰かに「倒される・落とされる」のか?については、スペイン語を1年くらい勉強した人ならよく分かっていることだろう。ところが、スペイン語というのは本当に一筋縄ではいかない。冠詞の問題だ。何故「caer en la cama」とはならないのか?という疑問も湧いてくる。しかし、実はケース・バイ・ケースで「caer en la cama」も表現可能だ。こんなに短い文章にもかかわらず様々なことを考えさせられる。・・・色々と考えさせられて、4の慣用句に付いてもコメントしなければならないのを忘れていた。意味は単純で、「床に臥す→病の床につく→病気になる」である

   さて4は、3とはうって変わって、単純な間接目的格が付いているのみだ。しかし、これも実に危険である。この間接目的格が付いているか否かで180度意味が変わってしまうからだ。いや、本当はそんな単純なものではない。まあそこが慣用句の慣用句たる所以である。スペースがあまりないので謎解きをしてしまおう。間接目的格がない場合の意味は「床を準備する=ベッドメーキングする」なのだが、ここに上げた慣用句の意味は「裏工作をする」となるから要注意だ

  3の例) Después de las vacaciones cayó en cama aquel chico joven.
    (あの若者はバカンスが終わったら病気になった)

  4の例) Te han hecho la cama y tú no te has dado ni cuenta.
    (罠をかけられたのに、お前ったら、まったく気付いてないんだから)

  今回はcamaを使った慣用句を対比させたことでちょっと長くなってしまった。ではまた次回に。ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)

  以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.67号(2006年05月末発行)』に掲載されたものです

 

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