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スペイン語文法 (番外編) 馬耳東風 海ちゃん スペインの慣用句 マヤ暦のページ


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Monólogo de un pasota == Serie III -42 ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その四十二)

  さて前々回で「abrir calle」という慣用句をご紹介した。今回はこの「calle」を含んだ慣用句をまとめて(とは言ってもまだまだあるのだが)ご紹介することにしよう

1. 『echar a alguien a la calle』
  慣用句というのは実に面白いものだ。無論これはスペイン語の慣用句に限ったことではない。日本の慣用句でも同じだ。つまり、常々ご紹介している慣用句というのは、概ね、どこをどう捻れば「(欣ちゃんではないが)なんでそうなるの?」というようなものばかりで、また、そうでなければ慣用句ではないとまでうそぶいてはいるが、中には、そのものズバリのものだってある。例えば、「首にする」がそうだ。あるいは、「首をすげ替える」というのもあるが、いずれにしても、要は、ある人物を『解雇する』あるいは『(通りに)放り出す・追い出す』ことに他ならない。と、いうわけで、このスペインの慣用句もそのまま、つまり、直訳のままの『誰かを通りに投げる』ことで、慣用句の中でも最もそれらしくない部類に属する慣用句だ

  例) Además, si ganan los de su partido, nos van a echar a la calle, no tendremos trabajo. Yo he vivido siempre aquí. ¿Qué haría?
    (挙げ句の果てにもしあちらの政党が勝てば、我々はみな解雇されてしまう。僕はここで生まれ育ったんだ。どうすればいいんだよ)

2. 『echarse a la calle』
  さて、これだからスペイン語は困る。1)とは動詞「echar」に「se」が付いているかいないかだけの違いだけの句だ。つまり、1)は直接目的語だったが、ここは再帰代名詞にとって変わっているわけで後は同じ。スペイン語の学習者ならそれが何を意味するかはお察しがつくだろう。当然の事ながら意味はまったく異なったものになる。しかも、同じ句で二通りの意味を持っているから困りものだ。二通りあるのは「calle」だからなんて洒落ている場合ではない。しかも、「calle」であって「calles」ではないから洒落にもならない。その二とポリに意味とは、一つ(例-1)が『(慌てて)外に飛び出す』ことであり、もう一つ(例-2)の意味は、まったく慌てないで『(デモなどに参加するために)街頭へ繰り出す』あるいは『暴動を起こす』であるから、またしても欣ちゃんに登場してもらわねばならない事態となるわけだ

  例-1) Me eché a la calle en busca de una farmacia de guardia.
      (当番薬局を求めて僕は通りに飛び出した)
  例-2) En la Revolución Francesa el pueblo se echó a la calle.
      (フランス革命では市民が街へ繰り出した)

3. 『echar (tirar) por la calle de en medio / echar (tirar) por la calle del medio』
  こちらは少々様子が違う。しかも、前者のそれは、二重に前置詞が配置されている。ちょっと手強そうだが、後者を見ると、その部分は解消されているようだから、「en medio=真ん中で」に関してはそれほど問題なさそうだ。つまり、言い換えが可能だということなので必要以上に問題視することもないというわけだ。そうなってくると少し分かってきたような気になるから人間なんて勝手なものだ。さて、「通りの真ん中で」何かをするわけだが、問題は動詞だ。先ほどは建物の中にいて通りに出ていくのに「echar」が使われていたが、今度はもうすでに通りにいることが前提になっている。さて、これら二つの動詞でいったい何が出来るのだろう?何をしでかそうというのだろう?ちょっと怖い気もする。ということで、その意味は『(何も考えずに、無謀に)町で何かをする』だ

  例) Piénsalo bien, porque eres capaz de tirar por la calle de en medio y hacer alguna cosa sin meditarla.
    (おい、よく考えろ。お前という奴は自分のすることをよく考えもしないで街頭で何だってやってしまえるような奴なんだからな)

4. 『hacer la calle』
  「通りを作るんですか?そうなんですか、それはそれはご苦労様」とついつい言いたくなってしまうが、この言葉を耳にしてもそのようなことは決して言わないように。あなたも同類にされてしまいますよ。っと、いったい何のことか分からないのは当然だろう。この手の慣用句が最もたちの悪い慣用句だからだ。つまり、このまったく何の変哲もない句が慣用句だとは予想だにしない、いや、想像さえ出来ない上に、そのもつ意味がまったく宜しくない悪い意味を持っているからだ。つまり、外国人泣かせの慣用句の最たるものかも知れない。例えば、「首を切る」という慣用句は、その意味を知らない外国人だって、その意味は別にしても、尋常ではないことが察しつく。しかし、「道を作る/道をする」といわれていやな予感がする人はまずいない。日本語の慣用句にも同じようなものがある。例えば、「足が早い」だ。これを聞いて、この句が慣用句だと直感的に感じる外国人の日本語学習者はいまい。これは『(娼婦が)通りで客を引く(最近は娼夫もいるのでご用心)』ことを言っているわけなので、呉々もご注意を

  例) Ella hace la calle en el barrio universitario todas las noches.
    (彼女は毎晩大学地区で客をとっている)

  さて、ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)

  以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.69/70合併号(2006年08月末発行)』に掲載されたものです

 

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