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スペイン語文法 (番外編) 馬耳東風 海ちゃん スペインの慣用句 マヤ暦のページ


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Monólogo de un pasota == Serie III -43 ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その四十三)

  さて、今回は「C」で行こう。とは言っても、C調な雰囲気で話を進めて行くわけではなく、「C」で始まる言葉をキーワードにした慣用句をみてみることにしよう

1. 『pasar (cruzar/atravesar) el charco』
   栄枯盛衰とはよく言ったものだ。もっとも、スペインのように、享受した黄金世紀の何倍もの衰退期を過ごすというのは希にしても、あの無敵艦隊の巨人でも落ちぶれる時があるわけだ。しかしジャイアンツ・ファンよ嘆くなかれ。長く暗いトンネル時代にこそ基礎が築かれるのだ(ハズ)。待てよ?それでは阪神の衰退期には何か築かれたか?などとつっこみをいれるのは止めよう

   さて、「charco」は水たまりだから、これを「通る・横切る・横断する」のは簡単なことだ。ひとまたぎですむ。しかし、世の中は広い。助走をしても飛び越せないような大きな水たまりもたま(り)にはある。しかし、ヘラクレスでさえ飛び越えられないだろう「水たまり」が大西洋だ。ところが、それを「水たまり」と表現してしまうのがラテン系の大袈裟さだ

  例) Mi tío cruzó el charco y en diez años se hizo rico.
    (僕の叔父は大西洋を渡ってアメリカ大陸へ行ったが、10年で金持ちになった)

2. 『contante y sonante』
  「数えられるものや音のするもの」は世の中にはたくさんある。形あるものすべて数えることもできれば叩くと音もする。しかし、近頃は実体がないので数えられず、無論音もしなくなったものがある。お金だ。以前は「現金」のみが存在した。しかし、最近はその実体がないお金が横行している。代表的なものとしては、いや、あっと言う間にその代表格に躍り出た観がある「Suica」がそれだ。いわゆる、デビット・カード(Tarjeta de Débito)やプリペイド・カード(Tarjeta Prepagada)や電子マネー(Dinero Electrónico)と呼ばれる現金同様のプラスチック・キャッシュ(Dinero Plástico)のことだ。正確には「生金(生きたお金)・現金」ではないが、拾ったSuicaはその場で使えるので、やはり新型の現金なのかも知れない。しかし、まだまだ『数えられる音のする』ものが信頼性が高い。もっとも、この「現金」もまた信用手段以外の何ものでもないのだから、実体のないデジタルに取って代わられたとしてもさほどの差はない。因みに、この慣用句は形容詞が二つで成立しているが、これらだけではやはり意味をなさない。名詞の「dinero」を付ける必要がある。当初は「ジャラジャラと音がして数えられる金」という強調の形として使用されていたのだろうが、デジタルマネー時代が定着するまではまだまだ大いに使われそうだ

  例) Págamelo en dinero contante y sonante porque no me fío de tus cheques.
    (お前さんの小切手は信用ならないから現金で払ってくれ)

3. 『estar/dejar/etc. +cortado/a』
  動詞「cortar」は、スペイン語学習の初歩段階で覚えねばならない最初の100個にも入るほどの極めて一般的な動詞だ。その過去分詞形だから、動詞「estar」と組み合わされば切られた状態を表す。例えば「El jamón está cortado.(=ハムは切られています)」や「La tela está cortada ya para coser. (=生地は縫製用に裁断されています)」のように。しかしそれでは慣用句でも何でもない。慣用句の中で最も我々外国人が困るのはこの手のものだ。どこをどう引っ繰り返しても慣用句には見えないにも関わらず慣用句「でもある」のは本当に困ったものだ。「イヤー、困った、困った」。この「困った」は大きく分けて二通りある。「難儀する」のと「途方にくれる」だ。前者は、例えば「niño problemático(=問題児)」に代表される「困った」で、後者は、「no sabe qué hacer(=どうすればよいのか分からない)」風の「困った」である。実はこの慣用句は後者に属する「困った」慣用句である。因みに、この「cortado/a」は形容詞や名詞としても様々な意味を有しているが、中でも、この「困る」に近しい意味としては例-2)のような用法もある

  例-1) Su contestación me dejó cortado.
      (彼女の返事に僕は当惑した)
  例-2) Si no fuera tan cortada iría yo misma a pedirle una explicación.
      (私がこんなに恥ずかしがり屋でなければ、説明を要求しに自分で行くのだけれど)
  さて、ご質問・ご意見やリクエストなどもお待ちしている。もっとも、リクエストには即答できないと思うが。いや、気分次第かなぁ。(文責:ancla)

  以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.71号(2006年09月末発行)』に掲載されたものです

 

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