e-添削入口 受講料 添削例 申込み e-Mail FQA
システム コース 無料レベル・チェック 講師紹介 通学塾 CASA

スペイン語文法 番外編 (第一編)

馬耳東風 (第二編) スペインの慣用句 (第三編) マヤ暦のページ


===========================================
Monólogo de un pasota == Serie II -02 ==
===========================================

『馬耳東風』 第二編 (スペインの政経社編) 第2話

  『ユーロ導入四方山話』 前回に引き続きEU12ヶ国で流通が開始された新通貨EUROについて少々お話ししましょう。

  昨年一年は、スペインの高級乗用車市場にとって大変な一年になったようです。大変と言っても悪い意味ではなく、大変忙しい一年だったというわけです。もっとも、忙しいというのは、休む暇もないと言うことなので、関係者にとっては、この意味においては悪い話だったのかもしれませんが...。実は多忙を極めたというのは、この高級車市場のみではなく、高級不動産市場も活況を呈したようです。しかも、来る客来る客が全員『いつもニコニコ現金払い』。つまり、スペイン語で言うところの『tocatejaで』、何千万ペセタもするような高級車が飛ぶように売れたというのです。昨年のスペインの景気(GDP成長率第1四半期=3.2%、第2=2.9%、第3=2.6%)は、他のユーロ諸国(各、同期2.5%、1.6%、1.4%)と比べると確かに非常に良かったのは良かったのですが、ここ10年の経済成長率を見ても、もっと良かった年はいくらでもありました。にもかかわらず、では何故昨年そんなに多くの高級車が売れたり、高級住宅が、しかも、現金の全額払いで売れたのでしょうか?

  っと、まあ、ここまで書けば勘のいい人ならその理由が判ったのでは?更に言うと、こうした現象は、実は、スペインのみならず、イタリア・ポルトガルを始め、他のユーロ導入諸国でもある程度起こったと言うことです。その中でも、伊・葡、そしてスペインで最もこの現象が目立ったと言うことでした。さてその理由は『ブラック・マネー(Dinero negro)』でした。つまり、これまでもこれらの国の地下経済(Economia sumergida)がどのくらいの規模なのか、というのは、大いに問題視されていましたが、その実体となるとほとんど掴めていませんでしたし、この件に関する研究も実に僅かしかありませんでしたし、何しろテーマがテーマですから、その信憑性(=実体をどの程度反映しているのか)となると、正確なものがなかったのです。無論、正解名実数が判っていないからこそ地下経済な分けです。つまり、いわゆる『駆け込み消費』が行われたわけです。

  手持ちのペセタ、日本流に言うと、『タンス預金』をユーロに転換せねばならないわけですから、一度に使おうとすれば、そうした高級車や高級住宅しかないのでしょう。ユーロ預金にしてしまえば、せっかくこれまで『隠して』きたお金が日の目を見てしまい、税金に反映されてしまいます。「税金にとられるくらいならいっそのこと思い切って遣ってしまえ」と言うわけです。でも、急にそんな高級車を乗り回していると近所にしれてしまい、いずれは税務署の知ると頃ともなるはずなのに???と考えるのは小生のみではないでしょうが、まあ、それはあくまでも他人のことでもあり、貧乏人から言わせれば、「見つかってしまえ」というのが本心なのですが...。

  さて、ペセタがユーロに代わった(このメールを皆様が読まれる頃にはもうペセタは使用できなくなっています)と言うことは、スペインの場合(特にアイルランド、ドイツ、オランダ、フィンランド、フランス以外のほとんどの国も同様ですが)、166.386ペセタが1euroになったわけで、イタリアに及んでは1936.27リラが1euroになってしまったのですから、これはほとんどもうデノミネーション、所謂、デノミが行われ他も同然です。しかも、一方では、先回にも話しましたように、端数が四捨五入されるということで、四捨せずに一入以上の計算がなされたという噂もあります。つまり、『便乗値上げ』ということですが、少々値上げがされていても、これまで、例えば166,386ペセタしていたものが1,000euroなのですから、感覚が鈍っても仕方のないことでしょう。

  そこで、以下に、各ユーロ建てでどんなものが買えるのかを見てみましょう。無論、おおよその価格であって正確ではありませんし、商品のメーカーやそのお店、ブランドや品質などによっても異なります。また、バーゲン価格でもありません。あくまでも参考程度ですので、実際にお釣りどころか足りなくて恥をかいたというようなクレームは受け付けませんのであしからず。

  • 50centimos=ボタン1個・パン1本(una barra de pan)日本流に言えば、バケット1本
  • 1euro =Bicのボールペン・いわゆる100円ライター・ミカン1Kg・ガソリン1L・コップ・ビール1杯(una cana)・コーヒー1杯・タバコ1箱
  • 3euros =雑誌・食料油1本・鎮痛剤1箱
  • 4euros =口紅1本・マッサージ10分・もう少し足せば映画も見れます
  • 10euros =散髪・コーヒー茶碗セット・CD2枚は買えない?
  • 30euros =セーター・ハンドバッグ・まあまあのワイン(Gran Reserva)1本だと若干のお釣りあり
  • 60euros =敷布セット・掛け時計・カヴァ(スペインのシャンパン=スパークリングワイン)1本
  • 70euros =CDプレーヤー・携帯電話・水着・めがね
  • 100euros =車のタイヤ・電気ドリル
  • 200euros =婦人服・男性用のブレザー・中級クラスの生ハム1本・PC用プリンター・スキャナー
  • 300euros =ビデオ・電子オルガン
  • 400euros =25インチ程度のTV・電子レンジ
  • 500euros =ミニコンポ
  • 1000euros =デスクトップPC・冷蔵庫
  • 1500euros =ラップトップPC・32インチ程度のTV・デジタルビデオ
  • 20,000euros=ファミリータイプの乗用車

(文責:ancla)

  以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.16(2002年2月末発行)』に掲載されたものです。