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Monólogo de un pasota == Serie II -11 ==
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『馬耳東風』 第二編 (スペインの政経社編) 第11話
『スペインの治安』 (その4)
今回このテーマで書き始めたときは、まさか4号も続くとはまったく予想もしていなかった。思ったよりもこの問題の根が深かったからなのか、それとも、書き方が紆余曲折・蛇行を繰り返してしまったことが大きな要因なのかは読者の判断に任せるとしても、スペインが現在抱えている社会的な諸問題の中でも最も大きな問題の一つであることは確かだ。いずれにしても、このテーマはまだ今回も終わりそうにない。少なくとももう1回はおつきあい願うことになるようだ。
前号では、スペインと同様に日本でも意外に殺人事件の数が多いことに驚かれた方も少なからずおられたのではないだろうか。2001年の殺人件数は、スペインが1,200件で、日本が1,340件だった。いずれも1日平均あたり3人以上が『殺害されている』ことになる。ただ、スペインの場合、『ETAのテロ』という特殊要因もあり、これを考慮に入れれば、日本の人口との差から来る格差が埋め合わされるかもしれない。それにしても、日本での殺人事件が思いの外多いことが妙に気はなる。
さて、話をスペインに戻そう。何故これほどまでにスペインでは犯罪が増え続けているのだろうか?ドラッグなど社会の裏の部分と表社会の境目が日本とは比較にならないほど不明瞭な点もその要因かもしれない。ともあれ、内務省の報告書では、ことあるごとに外国人の犯罪について言及されている。無論、増加の原因をそこに求めた形で記述されているわけではない。しかい、例えば、「逮捕者数232,147人のうち約半数強の116,139人が外国人だ」とか、2001年に麻薬取引で逮捕された5,407名のうち1,420名が外国人だというふうに、それとなく言及しているのである。さらに、刑務所は未だかってないほど(これはラテン的な大げさな表現だとしても、内戦終結後の共和派の投獄は除かねば...)の人口過密状態(1995年以降12ヶ所も刑務所が増えているにもかかわらず)が生じていて、年間平均で、2001年が41,090名、2002年の推定値は約43,000名となっている。そして、2001年の4万人超のうち1万人が外国人だと先の内務省の報告書では述べられている。
2000年初頭の外国人法改正の後、スペインでは驚異的に移民労働者が増えている。1999年末に808,329人(EU諸国民=約40%、アフリカ系=約30%、ラ米諸国=約20%)であった登録外国人が、僅か2年後の2001年末には150万人(全人口の約4%)に膨れ上がった。しかし、本当に外国人移民労働者が犯罪増加の原因なのだろうか?数字のみを見ると、確かに外国人の約8%弱が犯罪者と言うことになるが、実際にはこの計算にはウソがある。ウソという表現はやや語弊があるかもしれないが、もともと犯罪者の統計は延べ人数で計算される。つまり、同じ人物が何度も犯罪に手を染めるわけで、同一人の逮捕の度に逮捕者数としてカウントされるわけだ。したがって、実数は統計には表れない。全犯罪の約8%弱が外国人だといっても、それは実状とは異なることになる。
ただ、この市民の安全と、外国人移民増加(これについてはいずれこのシリーズでも取り上げる予定)の両問題が、現在、スペイン社会の中で直接関連づけられつつあるということは確かである。スペイン人は国民性からもまた歴史的にも人種差別をする傾向にはなかった。しかし、それが最近は大きく変化しつつある。外国人移民を見るスペイン人の目が変わってきているのである。モロッコ人が若いスペイン女性を強盗の末殺害するという事件が起因となったアルメリア県エル・エヒード(El
Ejido)での2000年2月の暴動が象徴するように、「moros fuera(モーロス・ゴー・ホーム)」をはじめとした外国人移民排他思想が次代に根付き、スペインのあらゆる場所(特に都市部)で様々な問題が起きているが、その一つ一つをここで紹介することはできない。(...続く)(文責:ancla)
以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.26(2002年12月末号発行)』に掲載されたものです
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