e-添削入口 受講料 添削例 申込み e-Mail FQA
システム コース 無料レベル・チェック 講師紹介 通学塾 CASA

スペイン語文法 番外編 (第一編)

馬耳東風 (第二編) スペインの慣用句 (第三編) マヤ暦のページ


===========================================
Monólogo de un pasota == Serie II -22 ==
===========================================

『馬耳東風』 第二編 (スペインの政経社編) 第22話

アスナールの後継者と来年の総選挙の行方 (… その2)

  マリアノ・ラホイ第1副首相は、その座を彼の最大のライバルでもあったラト第2副首相に喜んで譲り、党の幹事長に就任し、大臣としての激務から解放され、3月の総選挙に向けて動き出したわけだが、アスナールの後任選出で何ら驚かなかったというと、それは事実に反するだろう。驚きだったのは、選出された人物が、まったく目立たなかった伏兵(いわゆる人畜無害的な存在)であったこと。そして、アスナールがあまりにもありきたりの選択を行ったからであった。第2副首相のラトの名前が挙がってはいたものの、「彼が最有力候補だ」とは考えてはいなかったのも事実だが、それにしても、アスナールの約束を守っての「引退」の陰には、「何らかもっとインパクトのある身の引き方」、あるいは、「国際社会をもうならせるような選択」をするのではないか?という、半分期待めいたものが、著者にはあった故に、今回の選択が完全に肩すかしを食らったような気になったのかもしれない。もっとも、「肩すかし」だったと感じたのは小生だけではなかったのも事実である

  しかし、では何故、実にありきたりな、『第1副首相を後任』に、いや、少なくとも、候補の片隅にも著者はこの政治家の名前を上げなかったのか?その理由は、まさに、アスナールが今回実際に選んだ選択理由そのものとまったくおなじで、あまりにもありきたりの選択である上、新しいカリスマ書記長であるサパテロに対抗するにはあまりにもインパクトが弱すぎると思ったからである。「個人的なカリスマ性や、政界での実力、また国民からの支持率などとはほぼ関係なく、『党』が国を牽引するのだから、首相は誰だって良い」と、いったどこかの国で以前よく見られた(まだそうかな?)、「政党ありき」といった確固たる政党としての力はPPにはまだ備わっていないという事実も一方ではしっかりと踏まえていなければならない。では、にもかかわらず、何故、アスナールはラホイを後継者に選んだのだろうか?

  ラホイは、アスナールに続くような、あるいは、アスナールを脅かすほどの人物でもなく、堅実そのものの淡々と仕事をこなしていく、いずれかと言えば、官僚タイプの政治家のように一見みえる。しかし、実際のラホイは、26才で地元ガリシア自治州議会議員に選出されたのを皮切りに、31才で同自治州の副首相に就任しており、これ一つをとっても、並々なら無い逸材であろうことは推測できる。しかがって、地方政治時代から数えると、政界ではすでに22年のベテランであるという根っからの政治家で、この点では、官僚経験のある現首相よりも政治家なのかもしれない。しかし、果たして、ラホイでPPは総選挙が勝てるのだろうか?あまりにも堅実な選択。あまりにも堅実な人物。また、アスナールの陰でまったくと言って良いほど目立つことがなかったラホイという人物は、どのような人物なのか?アスナールに第2ではなく、第1副首相に任命されていたからには、やはり、最もアスナールに信頼されている人物であることに違いはない。しかし、それと実力とは別物である。無論、影の薄い人物は皆実力のない人物というわけでもないことは、フランコ没以降の民主化過程の中で現国王が体現して見せた

  さて、総選挙まで後もう少し。そこで、次号も引き続きこのテーマを追求しつつ、スペインの新たなる政治の行方を追ってみることにしようと思う。(文責:ancla)

  以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.38(2003年12月末号発行)』に掲載されたものです
  

Delfin_Izq

Delfin_Dch