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Monólogo de un pasota == Serie II -27 ==
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『馬耳東風』 第二編 (スペインの政経社編) 第27話
社労党政権の勝利とサパテロ新政権 (その3)
2回にわたって去る3月14日の総選挙の結果を検証してみたが、今号は、新政権を動かしていくことになる内閣について見てみよう
さて、サパテロ首相は総選挙後に「閣僚の男女平等」と「イラクからの撤退」という大きな約束を行ったが、その二つを、一つは新内閣の発表と同時に、そしてもう一つも、その僅か48時間後に果たした
その結果、16省の長を男女8人ずつとし、見事なバランスをみせた。無論、8名もの女性閣僚というのは、スペイン史上始まって以来であり、女性の第一副首相(兼任:首相府相)というのも史上初である。アスナール政権も、史上初の上下両院女性議長を実現させたり、閣僚も5名を登用するなど、かなり斬新な方針をとってはいた。我が日本では、小泉初代政権で4名の女性を入閣させたのが最高である。とはいうものの、比率で見ると20%以下であり、50%のサパテロ内閣の足元にも及ばない
因みに、欧州で、いや、世界でも最も斬新的といわれるスゥエーデンも女性閣僚が50%であるので、スペインもこの件に関する世界のトップに躍り出たことになる。女性閣僚の数で見ると、このスゥエーデンの10名、フランスの9名には及ばないが、実際には、フランスには29もの省庁があるため、その比率は大幅に落ちる。デンマーク(7名)やフィンランド(6名)など北欧諸国がこの点においては進んではいるが、やはり、比率では50%が最高である
新内閣は平均年齢が49.35才であり、首相の年齢(44才)からすると、非常に高いのは意外であったが、これも前述した彼のバランス感覚が生かされているからかもしれない。一方、ゴンサーレス政権で見られた30才台の大臣は今回の内閣には存在しない。とはいうものの、最高齢者は僅か62才という「若輩者」である。これは、前述の返り咲き大臣である、第二副首相兼経済相のペドロ・ソルベスで、80才代の大臣に馴らされている我が日本では、どこかの飲料水のCMではないが、「ムリ」な話で、いったいいつになれば日本もスペイン並みになれるのだろうか?と考えさせられてしまうのは筆者だけではないはずだ。因みに、ペドロ・ソルベスは、EU委員会の経済通貨問題担当相を辞任しての就任となり、彼個人としては、経済的にはかなりの損失(所得ダウン)になるはずである
ともあれ、サパテロ新首相は、外相に、中東の専門家として高い評価を得ているM.A.モラティーノス元EU中東特使を当てたことで、サパテロ新政権の反米・アラブ寄りの姿勢を鮮明に打ち出した。このことは、イラクからの撤退と合わせ、「大きな転換」をアピールするものとして注目に値する(...続く)(文責:ancla)
以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.44(2004年06月末号発行)』に掲載されたものです
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