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スペイン語文法 番外編 (第一編)

馬耳東風 (第二編) スペインの慣用句 (第三編) マヤ暦のページ


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Monólogo de un pasota == Serie III -11- ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その十一)

     今回は、前回でご紹介した月と太陽以外の自然界をキーワードにした慣用句を探ってみようと思う

1. 『entrar en calor』

     「暑いところに入る」と言うわけだが、まあ、確かにスペインの夏は暑いし、スペイン語圏には常夏の国がいくつもあるのはあるので、そうしたところに入国することを言っているのだろうか?それも確かにあり得る。しかしそれだけではない。では、石川五右衛門のように熱い熱いお風呂に入るとき発する言葉だろうか?まあ、それもなくはないが、そのような場合は《calor》ではなく《entrar en agua caliente》の方が自然だろう、などと御託を並べるのはやめにして、本題に入ると、スペイン語の場合、暖かい中に入るのは自分なのだが、実際には自分の体の中に暖かいものが入ってきて自分も暖かくなる状態を表現していて、あくまでも主語は主体者である人間だというわけだ。お分かり頂いただろうか?つまり、運動などをして、あるいは、うどん等を食べて『(身体が)暖まる』というわけだが、Se me calientaなどとは絶対に使わないように注意しよう

     例) No consigo dormir, si no entro en calor.
          (身体が暖まらないと眠れないわ)

2. 『hacer morder el polvo a uno』・『morder el polvo』

     「誰かに粉を噛ませてやる」よりは、「誰かに埃を噛ませてやる」の方がより効果的かも知れない。あんなに細かいものを噛むのはちょっと苦労するし、それが汚い埃ならなおいやだ。とはいうものの、実際にも、風が舞って砂埃を噛まされるときだってあるのだから、これでは大した拷問にはならない。まあ、それでも良い感触ではない。スペイン語圏の埃はもっと大きいのかも知れない。そういえば、スペイン語圏の人たちはみんな誇り高いから、そんな人たちの間で埃を噛ませるというのはかなり効果があるのだろう。そんなことから、この慣用句の意味は『敗北させる・屈辱を与える』ということになる。つまり、相手を何らかの形で『負かす』ことを言うが、文章の内容によっては、動詞《hacer》を使用する必要がない場合もある

     例-1) Los soldados de Sadam Husein han hecho morder el polvo a los de Bush.
          (サダム・フセインの兵士たちは、ブッシュ側の兵隊をギャフンと言わせた)

     例-2) Como le dio una gran bofetada, pobrecito de él que acabó mordiendo el polvo.
          (かなり激しいビンタを受けたから、可哀想なあいつはごまめの歯ぎしりをするのだろう)

3. 『captar (coger o pillar) (la) onda』

     目に見えない「電波をつかむ」のは並大抵ではないが、受信機が受信してくれるのでいいとしても、「波をつかむ」の並大抵のことではない。だいたい、波というのは目には見えているが、実際は存在しないものだからだ。「何を言う、確かにつかみにくいものだが、海にはいくらで波はあるし、波は尽きることはない」とお叱りを受けそうだが、実際そうだろうか?波というのは風が水面を通過する際に引き起こす現象としての存在であって、『波』という定形物は存在しない。水が風に吹かれて動く様を我々は見ているだけだ。つまり、あれは幻想に他ならない。いやいや、そんな話をしている場合ではない。この慣用句に出てくる《onda》は、同じ波でも、「テレパシー」というか「頭脳波」に近い波である。つまり、『意味を汲む・真意をつかむ・理解する』などという意味になる

     例) Es difícil de que los jóvenes capten la onda de chistes que sueltan los mayores.
          (親父たちが放つギャグを若者が理解することは難しい=親父ギャグは若者たちに理解されるのは難しい)

4. 『estar en la misma onda』

     《onda》を使用した慣用句は他にもまだある。「同じ波にいる」わけだが、前述のこともあり、海水浴にでも行って仲間同士で、同じ海で泳いでいる、といった情景を思い浮かべた人はまさかいないだろう。前述の流れからこの慣用句を考えてみると、「同じ意見の中にいる」の方が同じ直訳でも、何とかあっているように聞こえるものだ。実際、この慣用句の意味もそれに近いもので、『(ある2人の)趣味(意見)が同じ(状態にある)』となる。つまり、『同じ趣味・同じ考え方』の場合を言うわけだ。日本の慣用句にも、「同じ穴のむじな」なんてのもあるが、これは「悪い仲間」同士を言うときに使用するのでお間違いのないように。もっとも、その意味でも使用可能だ。悪い者同士、あるいは、悪い意味での意見が合う場合だが。最も似た意味での日本の慣用句としては、『蛇の道は蛇』というのがある。もっとも、これも若干ニュアンスがずれる場合もあるので気を付けよう。例文には、日常会話によく出てくる決まり文句を挙げておこう。これはこのまま使用可能なので、覚えてもけっして損はない

     例) Veo que estamos en la misma onda.
          (意見が合うね)・(趣味が一緒だね)など

5. 『estar en la onda』

     今度の慣用句は上記4から《misma》が消えただけのもので、同じじゃないかと思われるかも知れないがそうではない。《misma》があるかないかの差、つまり、一言が入るか入らないかで、こんなにも意味が変わってしまうのかを理解するにはもってこいの対比がここにある。では、何故?どのように意味が変わるのかというと、実際には、《misma》が消えただけではなく、ここでは、《onda》が意味するものが上記2つの慣用句の場合と異なってしまっている。つまり、この場合の《onda》は、『(流行の)先端を行く・(流行に)遅れないでいる』の《onda》であって、いわゆる、『流行の波に乗っている』かどうかについて語られるときに使用するわけだ。ただ、使いようによって少々ニュアンスが違うかも知れないので、以下に二つの例文を挙げておこう

     例-1) No me hables de ese tema, que no estoy en la onda.
          (そのテーマについて話すのはやめてくれないか。よく分かってないんだよ)

     例-2) Veo que no estás en la onda que hoy en día las chicas buenas cenan en casa con la familia a la hora debida y se salen después de las doce de la noche, ¡entérate!
          (遅れてる〜。最近の良い娘(ko)さんたちは、ちゃんと決められた時間に家族と一緒に夕食をとるのよ。それで、夜の0時を過ぎてから外出するのよ。わかった!)

     今回はこの辺で終わりにしよう。次回も、もうすこし自然界のものをキーワードにした慣用句を探ってみよう。読者諸氏からの質問や意見をお待ちしている。(文責:ancla)

    以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.28号(2003年02月末発行)』に掲載されたものです

 

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