e-添削入口 受講料 添削例 申込み e-Mail FQA
システム コース 無料レベル・チェック 講師紹介 通学塾 CASA

スペイン語文法 番外編 (第一編)

馬耳東風 (第二編) スペインの慣用句 (第三編) マヤ暦のページ


===========================================
Monólogo de un pasota == Serie III -14- ==
===========================================

第三編 『スペインの慣用句』 (その十四)

      前回は人間や人(同じだけど?)をテーマにした慣用句をご紹介したが、今回も引き続きこのテーマで迫ってみることにする

1. 『de rompe y rasga』

      《rompe》は動詞《romper》で、《rasga》は《rasgar》の三人称単数形の活用なのは一目瞭然で、「壊して引き裂く」ということになるが、その前の前置詞《de》によって「壊して引き裂く(ものに由来する)」というニュアンスが生まれている。「壊し引き裂くもの」?地震か?天変地異か?なにやら恐ろしい感じがする。しかし、今回は人間がテーマだ。確かに、人間イライラすると無性に物を投げたり壊したりしがちだ。平和なやり方としてはエアーキャップをプチプチつぶすなんて方法もある。ところが、この慣用句はそのような単純な考えでは理解できない。実は、『大胆な・決然とした』という意味で、人の性格、特になぜか女性に対して使用されるので、辞書によっては《ser mujer de rompe y rasga》等と掲載されているものもある

      例) Mi madre fue una mujer de rompe y rasga.
            (私の母は実に毅然とした(潔い)人だった)

2. 『no ser nadie』

      《nadie》は、英語の《nobody》や《no one》に相当する不定代名詞だ。《nadie》一語で否定であるのに、その上に《no》がついているのだから、これは二重否定であって、その結果、肯定文となり「誰でもないことはない」、つまり、「何者か重要な人」というような意味になるのだろうか?と考えるのは至極自然な考え方だが、そうはいかない。これは「誰でもない」を強調した形になって『取るに足りない人・無能な人』ということになる

      例) No sé quién es usted para tratarme de esa forma. Pero, al menos, para mí no es nadie.
            (そんな風に僕を扱うなんて、あなたがどこのどなた様かは知りませんがね、少なくとも、僕にしてみればあなたは刺身のつまのような存在でしかない)

3. 『como Pedro por su casa』

      「ペドロの家でのペドロのように」???いったいこの文章は何なのだろう?これまでにも色々と慣用句を扱ってきたが、これほど訳の分からない慣用句はなかった。《Pedro》を《yo》に置き換えたとしても訳が分からない。しかもなぜ《Pedro》なのだろうか?実はこれには訳がある。この慣用句は《entrarse como Pedro por Huesca》という古い言葉に由来しているとみられている。つまり、西暦1094年、アラゴン王国のペドロ1世がウエスカの町を攻め落とし、この町に威風堂々と入った時の様子が、あまりにも我が物顔でこの町を闊歩したことから、「勝手知ったる他人の家」のように「誰か他人が自分の家にいる」、「家を歩き回っている」様をこのように表現したわけだ。よって、この慣用句の意味は、『我が物顔で・勝手知ったる他人の家のように』となる

      例) María entra y sale en mi casa como Pedro por su casa.
            (マリーアは僕の家を自由気ままに出入りするんだ)

      今回はこの辺で終わりにするが、今号から『容量』の都合で、1回にご紹介できる数が半減させられてしまったがご理解いただきたい。ご質問やご意見をお待ちしている。(文責:ancla)

      以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.32号(2003年06月末発行)』に掲載されたものです

 

Delfin_Izq

Delfin_Dch