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Monólogo de un pasota == Serie III -19- ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その十九)
さて、今週もまた引き続き動詞をキーとした慣用句をいくつかご紹介することにしよう
1. 『ser algo coser y cantar』
まず、「何か(algo)を縫ったり歌ったりすることである」か、それとも、「縫ったり歌ったりする何か(algo)である」のいずれなのかを考えてみたい。「何かを縫う」というのは、例えば「糸で傷口を縫う《coser
la herida con hilo》」だが、このフレーズの動詞はあくまでも《ser》であって、《coser
y cantar》は冠詞が付いていなくても名詞の用法で使用されていて、けっして動詞ではない。したがって「縫うことや歌うことは何かである」となり、例え《como》が入っていなくても、「縫うことや歌うことのような何かである」と言い換え・補足してやれば、かなり意味が成立してくる。実際、例文のように、《como》が付けられる場合も多々ある
しかし、それにしても、「縫うことや歌うことのような何か」といわれても、「何」?この両行為に何らかの共通点があるのだろうか?共通点はないが、同時にこれらの行為を行う、つまり、「何かを縫いながら歌う」ことは可能である。テレビもラジオもなかった中世などでは、縫い物をしながら楽しそうに、あるいは、憂いに満ちた歌声で縫い物をする、あるいは、単なる鼻歌を歌いながら縫い物をすると言う情景が浮かんではくる。このフレーズがそのことを言っているのなら、それはそれで楽で良い。そのくらいの余裕はどんな職業にでも必要だし、そうなれば世の中も平和になる。しかし、仕事というものはそんな簡単なものではない、はずなのだが、昔のスペイン人のお針子さんたちはよほど腕が立ったとみえ、簡単にそれができたらしい。そんなところから、『簡単なこと』をこう表現するわけだ
例) El examen de ayer fue como coser y cantar.
(昨日の試験は朝飯前って感じだったね)
2. 『salir pitando』
《pitar》は「笛を吹く」の現在分詞ではあるが、笛と言ってもフルートやピッコロなどといった楽器の笛ではなく、いわゆる車のクラクションや運動会のホイッスルなどの警笛の笛を吹く場合に使用される動詞だ。そうなると、「交通整理をしていた警察官が信号無視をした車に対し笛を吹きながら追いかける」。そんな姿が目に浮かぶが、果たしてこの慣用句の意味もそうなのだろうか?つまり、「笛を吹きながら出ていく」なのだろうか?解答は、決して遠からず...と言ったところで、ほとんど期待されるような裏はない。つまり、この慣用句の意味は、『大急ぎで(その場から)立ち去る』である
例) Salí pitando del cine porque me avisaron que estaba quemando mi
casa.
(家が燃えているって知らせが入ったので取る物も取り敢えず映画館を飛び出したよ)
3. 『tira y afloja』
《tira》とはリボンのような細長い布片のことだが、では、《afloja》とは何だろう、と辞書をいくら調べていただいても、《aflojar》という動詞はあるが、名詞で《afloja》も《aflojo》もない。そうなると、《tira》も名詞の《tira》ではなく、動詞《tirar》の三人称単数形の活用形なのだろうか。そう、まさにその通りだ。っと、何をとぼけた時間、いや、字数稼ぎ擬きをやっているのか?動詞をテーマにした慣用句を紹介しているのだから、《tira》も《afloja》も動詞にきまっている。しかし、動詞が二つ同格で並んでいて、目的語も主語もないなんて...。そりゃそうだ。その通り、これらは動詞ではない。この慣用句では名詞扱いであって《un
“tira y afloja”》なのだ。そうなると、今度は、動詞をキーワードにした句として紹介しても良いのか?と言うことになるが、動詞・三人称単数形の並びであることも事実である。したがって、《tira》も《afloja》も、《a》で終わっているからと言って女性形ではなく、あくまでも動詞扱い故に冠詞も《un》が付くわけだ
何か分かったような分からないような話だが、さて、話を戻して、《tirar》は「引っ張る」で《aflojar》は「緩める」なので、「引っ張ったり緩めたり」といった綱引き状態を想像していただければよいだろう。つまり、『押したり引いたり』の『一進一退』状態を表現している
例) Parece que no han llegado a un acuerdo sino que aún están en
un tira y afloja.
(彼らはまだ合意に至っていないようで、まだ交渉は難航しているようだ)
今回はこの辺で終わりにしよう。次回もしつこく動詞をキーワードにした慣用句をみてみることにしよう。何しろ動詞は多いですからね。ご質問やご意見をお待ちしている。(文責:ancla)
以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.40号(2004年02月末発行)』に掲載されたものです |
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