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スペイン語文法 番外編 (第一編)

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Monólogo de un pasota == Serie III -22- ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その二十二)

     さて、2ヶ月の空白が空いてしまったが、今回ももう少し動詞をキーワードにした慣用句でお付き合い願おう

1. 『¡no faltaba más! (¡faltaría más!)』
     これはスペイン語の慣用句の中でも、三役に入るほどの句で、よくご存じの読者も多いだろう。ただし、「もっと不足していなかった」あるいは「もっと不足するかもしれない」と、直訳してしまえば、とんでもなく何のことか分からなくなってしまうが、だからこそ慣用句なのだろう

     通常は、感嘆符を添える形で、強い意志・表現を相手に伝えたりする感嘆詞的な使用方法(『とんでもない』等)の方が一般的ではあるものの、《no faltar más que + 接続法》の形をとって文章としても使用される場合もある。また、この感嘆句的な形は、元来「拒否を伝える表現」方法なのだが、線過去や過去未来(可能)といった、少々回りくどい時制を使用するのが通常であることで、いわゆる「丁寧語(『とんでもございません』等)」の役目をする場合もある

     これまで、一つの慣用句に最大2個程度の例文を挙げたことはあっても、3種の例までは挙げたことはなかったと思う。今回はこの慣例を破り、前回お休みにしたこともあるので(出血大サービス)、3種類の使用方法で、しかも、4つの例文を挙げることにしよう

     《no falta más que + 接続法》 …とはとんでもない; …したらどうしよう: / ¡no faltaba (faltaría) más! [承諾] もちろんどうぞ! ¡Puedo usar el teléfono? ¡No faltaba más! 電話を使っていいですか?¡もちろん!

     例-1) ¿Y tú crees que voy a consentirlo? ¡Faltaría más!
          (俺がそれを承知するとでも思っているのか? とんでもないよ)

     例-2) No faltaría más si (es que) nos corte la luz ahora.
          (この上電気を切られたらとんでもないことになるよ)

     例-3) A- ¿Podría comer esta naranja?
          B- ¡No faltaba más!
          A- (このオレンジを食べてもよろしいでしょうか?)
          B- (どうぞどうぞ)

     補足:あなたがそれを「食べない」と言った「不足・不備」などあってたまるものか。それは大変失礼です。したがって、「どうぞお食べ下さい」というのがこの表現の真意である

     例-4) Disponga usted como si estuviera en su casa, ¡no faltaba más!
          (ご自宅におられるつもりで、どうぞごゆるりとなさって下さい)

     補足:これも例2)と同じような意味で、一般的な表現である《por favor》を使用するのではなく、この慣用句を使用することでより強調・誇張して「どうぞ」、と言うことになるわけだ

2. 『estar a bien, estar a mal』
     スペイン語を勉強し始めの頃に習うようなこのフレーズが何故慣用句なの?  ちょっとお待ち下さい。よ〜く見て下さい。《estar bien, estar mal》ではなく、真ん中に前置詞の《a》が入っています。僅かこれだけのことでスペイン語は意味・ニュアンスが変わってしまうのです。当然と言えば当然かもしれません。そうでなければ、前置詞が存在している意味がありません

     この《a》が入っている形というのは以外に知られていないかもしれない。僅か《a》のことでもあり、口語体の場合は、ほとんどが会話などでしか出てこない。そこにもってきて、《a》のまえが《está》だと、前置詞である《a》は、我々外国人にはほとんど聞き取れなかったり、気にならないかもしれないからだ

     では、「元気です・元気ないです」ではなければ、ではどのような意味なのか?を見てみる前に、この慣用句は、句としては、通常この形で表現されるものの、実際に使用する場合には、《estar a bien con …, estar a mal con …》の形で使用されるので、これも合わせて覚えるようにしたい。意味としては、『…さんと仲がいい(悪い)、うまくいっている(ない)』という意味になる

     例) Tú procura estar a bien con tus superiores, ¡¿de acuerdo?!
          (先輩たちとうまくやるんだよ。いいかい!わかったかい?)

3. 『¿estamos?』
     ??? なんだこれは?っと思っている方々もおられるかもしれない。動詞《estar》の一人称複数形に疑問符がついているだけで、なにが慣用句なのだろうか?ごもっともな話である。ただ、スペイン語の勉強をスペイン語圏の大学や語学学校などで習った方なら、先生がこの表現を良く使用するのでこの表現を記憶しているある方もおいでかもしれない。ほとんど口癖のようになっていて、これを連発する先生も決して少なくない

     「全員出席しているかな?」っと尋ねているのだろうか?いやそうではない。それならばしつこく念を押すように連発する必要などない。実は、この表現には、ある言葉が不足している(いや、¡faltaría más!ではない)。不足と言うよりは、スペイン語人にとっては、あまりにも当たり前のことなので、ある言葉を省いていることさえも気が付かずにこれを使用しているネイティブもいるかもしれない。その「省かれた・陰に隠れた・いつの間にか消え失せた」フレーズというのは、他でもない(そりゃ他でもない。一つ前の例文で使ったばかりだ)。そう、その通り。《de acuerdo》である

     つまり、《¿estamos de acuerdo?》というのが正式な句なのである。よって、その意味は『いいですね・わかったね・いいかな?・わかったかな?』っということで、な〜るほど、それなら先生方が使いたくなるのも良く理解できるというものだ。先生というのは淋しい職業で、一所懸命説明していても、生徒たちが聞いていてくれる、あるいは、理解してくれなければ、何らの存在価値もないので、時々は心配になってこの言葉を吐くわけで、心配性の先生ほどしつこく連発するのである

     例) ¿Estamos?
          (訳省略) ...わかってもらったかな?ちょっと心配...。

     もう一度確認しよう。¿Estamos?

     さて、今回はこの辺で終わりにしよう。ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)

     以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.42号(2004年04月末発行)』に掲載されたものです

 

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