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Monólogo de un pasota == Serie III -24- ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その二十四)
さて、引き続き動詞をキーワードにした慣用句をみて行くわけだが、今回は再帰動詞を使った慣用句の特集をご紹介しようと思う
1. 『quejarse de vicio』
まずは、再帰の形でしか機能しない動詞である《quejarse》だが、これは、「不平を言う」とか「文句を言う」で、もう一方の《vicio》というのはあまり言い意味は持っていない。「悪い癖」だとか「悪習」などの意味だ。したがって、これをあわせると、「悪い癖で文句を言う」ということになる。何も再帰動詞だからと構えることはまったくない。まあもっとも、この直訳だけではちょっと意を得ないが、意味としてはそのものズバリだ。つまり、『(文句を言う悪い癖があって)常に理由もなく不平を「四の五の言う」』ということを表現している
例) No protestes más, que te quejas de vicio; ¡con lo bien que te
tratamos aquí!
(ああ言えばこう言う。もう口をとがらすのはやめろよ。ここではこんなにもお前を大切にしてやっているのに)
2. 『quitarse uno de en medio』
前置詞がダブって出て来るという構文は時折あるがこれはその一つ。日本語の助詞、つまり「テニヲハ」を連続使用するようなものだからあり得ないように見えるのだが、これは正しい。実は日本語でもよくよく考えてみるとダブル使用している。この慣用句は、前置詞+副詞の組み合わせである「de encima」や「de delante」が基本形にある。つまり、「quitarse de encima (de delante)(上から[前から]取り除く・取り払う)」であるが、この直訳的意味も含み、その対象物が人物であれば必然的に前置詞「a」が加わり、「誰々から解放される・やっかい払いする」となる。したがって、それが上や前などではなく、「en medio(〜の中心・中央)」から取り払う場合には、「(面倒などから)立ち去る、手を引く、身を引く」強いては、「自殺する」とまでなる。よって、場所からのみではなく、何等かの厄介な問題から身を引いたりする場合にも当然ながら適用される。この慣用句は再帰動詞の割には理解が割合し易い句だろう
¿Estamos? (ウン? どこかで聞いたような、見たような?)(何だったけ?と思い出せない方は、2ヶ月前のこのシリーズをご参照あれ)
っと、言うわけで、再帰動詞だからと言って必ずしも難しいとは限らない。きっちりと原点に戻って忠実に訳せば、直訳だって結構役に立つのだということもついでに分かっていただけたと思う
例-1) Se quitó de en medio para no interrumpir nuestra conversación.
(我々の会話を邪魔しないように彼は立ち去った)
例-2) Se quitó de en medio abriéndose las venas.
(彼女はリストカットをして自殺した)
例-3) En cuanto se pusieron mal las cosas, me quité de en medio.
(雲行きが怪しくなってきたので、虎口を逃れてきたよ)
3. 『meterse por medio』
これこそ実に簡単な慣用句だ。これが慣用句なのかと思えるほどだが、必ずしもこの句を使用しなくても他の言葉で充分言い当てることは出きるものの、やはり、慣用句・決まり文句で表現した方が、なにかこう、その場がうまく治まる、というのが慣用句の良いところでもありまた醍醐味でもある
「真ん中辺りに入り込む」と言うわけで、他の言葉で言うと、《intervenir》・《Participar》・《Tomar
parte》などがあり、少しばかり厳めしい言葉だと、《inmiscuirse》などというのもあるが、まあ、最後のはまずは出てこないので覚える必要はない。すべて「介入する・介在する・干渉する」の意であり、この慣用句自体の意味もそのままの意味である
例) Déjanos a nosotros; tú no te metas por medio.
(我々に任せておけ。お前は口出しするな)
さて、今回はこの辺で終わりにしよう。ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)
以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.44号(2004年06月末発行)』に掲載されたものです |
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