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スペイン語文法 番外編 (第一編)

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Monólogo de un pasota == Serie III -27- ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その二十七)

     さて、前回からの新たなキーワード『色』を今回も続けてみよう。「白」がもう一つ残っていたので、まずは白からいこう

1.『estar sin blanca』
     「白ナシでいる」と言うわけなので、白がなければ、赤とかピンクを着ればいい、という訳にもいかない。しかし、よく考えると、色は形容詞だから、通常なら男性形のはず。しかも、この句ではなにも形容していないのに、《blanca》と女性形になっている。しかも、前置詞の後に形容詞が来ることはまずない。「っと、言うことは?」っと、この辺りまでの判断が瞬時にできればあなたのスペイン語能力も大したものです。さて、したがってこの《blanca》は形容詞である色を表現しているのではなく、名詞の《blanca》なわけだ。まあ、もっとも、慣用句なら例外がある可能性は大きいので、そんなに簡単に判断をしてはいけないのかもしれない。ともあれ、この《blanca》は名詞で、スペインの古銭の愛称である。よって、意味は『お金がない状態にいる』わけなので、『無一文である』となる。この表現は一般的な会話でも頻繁に使用される。もっとも、それは、知り合いのスペイン人がみんな私同様貧乏だったから?かもしれないが…

     例)Estoy sin blanca, ¿me invitas a una copa?
          (無一文なんだ。一杯おごってくれるかい?)

2. 『ponerse morado』
     この慣用句もよく一般的な会話で使われるものであるので、かなりポピュラーな慣用句の一つといえる。もっとも、通常使用されるのは《ponerse morado de》の形である。つまり、《de》の後に不定形の動詞を加える。例えば、季節柄、《Me he puesto morado de comer caquis》=「僕は柿をお腹いっぱい食べちゃった」等のような使い方がある(そういえば、柿が食べたくなった。善は急げ、食べよう。あ〜旨かった)。因みに、《morado》は紫色、あるいは、もう少し濃い紫色(暗紫色)を言う。しかも、ここでは《ponerse》と、再帰動詞になっている。したがって、「(誰かが)紫色になる」というのが直訳であり、実はこの慣用句もそこからきている。そこからって?どこから?

     そこからなのです。つまり、そのものズバリ、人が紫色になっている状態を表現しているわけである。前例のように、何かを「いやになるほど食べたり、飲んだり」というような、過度な飲食は身体・健康には良くない。私は医者ではないので詳しいことは分からないが、医学用語では「青色症・青藍色症」等と言い、先天性心疾患や伝染病・薬物服用でもこの状態になり、動脈血中に酸素が少なくなるとこういった状態になるらしい。しかし、果たして食べ過ぎなどでもそうなるのかは明言できないし、お酒も飲まないので、過度の飲酒でもこの状態になるのかも知らないのだが、おそらくなるのだろう。何故なら、そう、そこからこの慣用句が使われるようになったからである

     通常の用法の例文はもう出してしまったようなものなので、常に《ponerse morado》の後が《de》になるとは限らないということも同時に知っていただこうという心遣いから、違った形式のものを提示してみよう

     例) Se van a poner moradas a hablar del asunto en cuanto se enteren.
          (そのことに気が付けば彼女たちはいやと言うほどそれを餌にお喋りするぞ)

3. 『poner verde a uno』
     《verde》は緑。我々日本人にとってはいやな色だ。信号の色は「赤・黄・緑」と世界の共通色なのに、日本人には「赤・黄・青」だからだ。したがって、ついつい《azul》と言ってしまい、外国人に「え?君の国では、安全色は青なのか?」っと、つっこまれてしまう。なぜ緑なのに日本語では青なのか?っという文化人類学的な問題はさておき、少なくとも、語学をしている皆様には、訳などをするときには要注意の色である(注意の色は「黄」だけれど?)ことをここであらためて申し上げておきたい

     その典型的な例として、最近はあまり見られなくなったし、耳にもしないが、その昔、まだ社会が今のように「何でもOK」の時代ではなかった実にのどかな頃の話だが、「ブルーフィルム」なるものが巷に出回り、その筋がお好きな方は大枚をはたいてそれを入手されていたものだ。私なんぞは当時はまだ子供だったので、残念ながら、いや、もとい、お陰様で、その手のものは目にしたことはないのだが、ともあれ、この「ブルーフィルム」に相当するスペイン語は、あくまでも《cine verde》であるし、また、野口五郎のデビュー曲「青いリンゴ」なんぞも、《manzana verde》なのでご注意を

     おっと!!慣用句についてなにも書かなかった。しかし、もうスペースが残っていない。実は、これまでに多くの慣用句をご紹介してきたが、これは123個目に当たる。しかし、こんなことは初めてだ。ズバリ、その意味は「(誰か)を厳しく叱る」・「(誰か)の悪口を言う」である

     例) Le pregunté por ella y la puso verde delante de todos.
          (彼女のことを尋ねたら、みんなの前で彼女の悪口を言いたい放題だった)

     さて、今回はこの辺で終わりにしよう。ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)

     以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.48号(2004年10月末発行)』に掲載されたものです

 

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