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Monólogo de un pasota == Serie III -28- ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その二十八)
さて、今回は色シリーズの最後なので、やはり赤と黒に登場してもらわねば、色シリーズとは言えない。面黒いかも
1. 『tener la negra』
これは慣用句であって、決して「黒人女性を愛人にもつ」等とは訳さないように願いたい。もっとも、最も難しいのは、いったいどのような表現が慣用句なのか?の判断は確かに難しい。これまでにも見てきたように、いかにも慣用句ですというものも確かに存在はするが、慣用句はその多くが口語であることから、頻繁に使用される単純な言葉・単語で構成されているものが多いからである。これもその判断が難しいものの一つであろう
黒という色自体の持つイメージは何故か黒い???いや、暗い。ほとんどサケビたくなるほどクライ。これは124番目に紹介する慣用句だが、この「4」と言う数字は日本では「死」と読めるので嫌がられる数字だ。いくら迷信などを信じない人であっても、受験番号か何かでこんな番号が当たならば、絶対に嫌な気分になるだろう。そう、「これはもうダメだ、不運だ」と思うしかない。っと、いうことで、この慣用句は「非常に運が悪い・不運」を表現している
例) Tengo la negra, cuando voy a ir de excursión, llueve.
(私が遠足に出かけようとすると、雨。もう…イヤ)
2. 『al rojo vivo』
《vivo》は、「生きている」状態を意味する形容詞なので、生きている赤い色という、さすがに動詞が基盤になっている形容詞らしくなんだかとってもその臨場感が伝わってきて分かり易くていい感じである。動詞《ser》について、「生き生きとした・活気ある・はつらつとした」状態を表現する。したがって、《Es
un niño vivo.》は、決して「生きている子供」ではなく、「はつらつとした元気な子」を言う。因みに、「生きている(状態の)子供」を表現する場合は《estar》動詞を伴い《Está
vivo el niño.》である。この活力溢れる形容詞に、明るく力強い《rojo》色が組み合わされば、その意味はもう《llama
viva=燃えさかる炎》の先に生き生きと見えてくるようだ。よって、この慣用句が持つ意味・ニュアンスとしては、「(非常に・ひどく)真っ赤な・興奮・激高」を表現している。尚この慣用句は例-2)のように「白熱している」等の状態を表現する文語体にも使用される
例-1) No me pude tomar la sopa porque estaba al rojo vivo.
(火傷しそうに熱かったのでスープは飲めなかった)
例-2) El partido en el estadio de Santiago Bernabeu estaba al rojo vivo.
(サンティアゴ・ベルナベウ球技場でのゲームは白熱していた)
3. 『de color de rosa』
最近「バラの色」は「赤・白・黄色・ピンク・オレンジ・黒」等々実に様々な種類が存在し、バラ自体の種類も400種以上あるというのだから、ほとんどバラの品種の数だけ色があっても決しておかしくないだろう。したがって、《la
vida de color de rosa=ばら色の人生》と言われても、ひょっとしたら、誰かさんのように「黒バラ色の人生」なのかもしれず、いったいどの色をイメージすればよいのか、困るとか、迷うとかなんてレベルの話ではない。きっとこの慣用句は「バラの色」が1色だった頃のものなのだろう。その当時の「バラ色」は、やはりこの花の女王である本家本元の「バラ色」のように、明るく美しい人生をイメージすることを容易にしてくれたに違いない。そうなのだ。たとえ今後も「バラの色」が何百種類もそのバリエーションを増やそうとも、「バラ色」は一色しかないのである。決して暗い色ではない「バラ色」だ。したがって、この慣用句も、そうした「バラの色相にとらわれず、とにかく明るく未来を照らし出してくれるような色・前向きな色・楽観的な色」をイメージしながら使ってほしいものである
例-1) ¿Te has creído que la vida es de color de rosa?
(まさか人生はバラ色だなんて思っていたんじゃないだろうな)
(=「君は人生をそんな簡単なものだと思っていたのかい」)
例-2) Es que nos quieren engañar al pintarnos el asunto de color de rosa.
(問題をバラ色で塗って我々をだまそうっていうわけだな)
(=「問題を粉飾し目くらましを食らわそうってわけだ」)
さて、今回はこの辺で終わりにしよう。白で始まった色シリーズも僅か3回で終わってしまったが、さて次は何をテーマにするか…。ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)
以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.49号(2004年11月末発行)』に掲載されたものです |
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