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Monólogo de un pasota == Serie III -35 ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その三十五)
さて、まだまだ続く身体の部分の名称をキーワードにした慣用句をみてみることにしよう
1. 『con toda la boca』
この慣用句もまた直訳的な通常の表現では何ら特別な意味を持たない。例えば《Un
vampiro llega con toda la boca rebosante de sangre》=「口を血だらけにした吸血鬼がやってきた」となり、口を血で一杯にしたということで、直訳というか、実体そのままである。よって、この慣用句は、常に、動詞《mentir》を伴い、例文のような方法で使用されるわけだが、単に嘘をつくのではなく、意味的には、訳例のような強調の意味を含んでいるわけだ
例) Ella miente con toda la boca.
(彼女は盗人猛々しくも大嘘をついている)
2. 『sudar sangre』
「血の汗を流す」の意味なので、これは非常に分かりやすい慣用句のひとつかも知れない。つまり、『血のにじむような努力をする』というそのままの意味である。我々日本人は努力しなければダメな場合が多いのだが、ラテン系の人たちが同じことをやればもっと凄い結果を出す人がいるので、我々としては、あまりそうして欲しくないものだ。まあ、もっとも、彼らの表現は大袈裟なものが多いので、努力の度合いが、我々日本人の半分以下でもそれ以上の努力をしたようにアピールするので、やはり、話半分に聞いておいた方がよいかも知れない。これは、努力の度合いだけではなく、例えば、我々と同じくらいに怒っていたとすれば、実際には、我々の半分くらいにしか感じていないわけなので、こちらの怒りも半減させた方がよい場合が多い
例) Para llevar a cabo una obra como esta
tuvimos que sudar sangre.
(これほどの作品を仕上げるにはどれほどの努力が必要だったか…)
3. 『nacer de pie』
「言葉、言語は文化である」というのはもう言い古された表現である上に、そんなことはもう遠の昔に分かっているはずなのだが、それでもこうした慣用句に出くわすとあらためてその意味を噛みしめざるを得ない。いつものように直訳をしてみよう。「足から生まれる」となる。そうなると、我々日本人にとっては「逆子・逆児」以外に思い浮かぶものはない。しかし、それでは慣用句として面白くないのもまた然りである。逆子以外にこの言葉から想像できるものは我々の言語や文化的背景からは出てこない。スペイン語とのつきあいも長く、かなり文化的な面も理解してはいるつもりであるが、それでも、とてもではないが、『幸運の星の下に生まれる』という意味までには思い及ばない。どうやら、スペイン語圏では、逆子で産まれた子供は、「通常・一般的ではない」ことから、幸運を持って生まれたと理解されたらしい。いわゆる迷信の一種である。しかし、異常分娩で生まれた逆子だけに、では何故その逆、つまり、不幸の下に生まれついたとは考えなかったのだろう?子供が産まれた喜びの中でわざわざ悪いことは考えない。やはり彼らは楽天的なのだろうか
例) Todo le sale bien. Parece que haya
nacido de pie.
(すべてうまくことが運んでいる。まるで彼は幸運の星の下に生まれたかのようだ)
さて、では今回はこの辺りで終わることにしよう。ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)
以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.61号(2005年11月末発行)』に掲載されたものです |
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