e-添削入口 受講料 添削例 申込み FQA e-Mail
コース案内 講座案内 無料レベル・チェック 講師紹介 通学塾 CASA
スペイン語文法 (番外編) 馬耳東風 海ちゃん スペインの慣用句 マヤ暦のページ


===========================================
Monólogo de un pasota == Serie III -47 ==
===========================================

第三編 『スペインの慣用句』 (その四十七)

  さて、今回は「GとH」の語をキーワードにした慣用句をみてみることにしよう
1. 『como gallina en corral ajeno』
   「他人の鶏小屋の鶏のよう」というのが直訳になるが、鶏になったこともなければ酉年生まれでもないので、その状態に置かれた鶏が果たしてどのような気分になるのかさっぱりわからない。まあ、鶏君はきっとどのような気分にもならないのはならないのだが…。そこで、もっと分かり易くするために、鶏を人間に置き換えて考えてみよう。つまり、「他人の家にいる自分」を想像してみよう。無論この場合、その人の性格にもよるが、通常は、例えそれがラテン系言語の人であったとしても、少なくとも自分の家にいるようなリラックスな気分にはならないだろうと言うことくらいは想像がつく。つまり、日本の慣用句にある、『借りてきた猫』状態を表現している分けで、あくまでも内弁慶というか、おとなしくしている状態を表現するときなどに使える慣用句である。もっとも、ラテン系言語の人に内弁慶な人がいるのか?っと、言うと、実は、このタイプの人は100%保証しよう、いるのだ。ともあれ、所変われば品変わる。スペイン語では同じ意味を表現するのに、《gallina》を引き合いに出すが、日本では「猫」が登場するのは面白い。これが文化というものなのだろう

  例) Estoy seguro de que Rosa pensaba lo mismo que yo: los dos nos sentíamos como gallina en corral ajeno.
    (ロサは僕と同じ事を考えていたに違いないと思うよ。要するに、二人とも借りてきた猫状態だったってね)

2. 『como el gallo de Morón』
   前項では《gallina》だったが今度は《gallo》だ。つまり、雄鶏になった。もっとも、この慣用句では《gallina》の場合と違って、雌鶏全般を指しているのではなく、冠詞も付いているので、モロンという場所の雄鶏のみを指していることは明白である。モロンと言えば”もろん”のこと、最初に浮かぶのがBuenos Aires県Morón市だ。スペインにあるモロンは、Sevilla県の町だが、こちらの方の正確名称は《Morón de la Frontera》である。しかしながら、実は、この慣用句で言う《gallo de Morón》は後者の《Morón》を指している
この慣用句にはかなり信憑性の高い発祥の物語があり、その時期が16世紀の後半であることから、アルゼンチンのモロンではなく、スペインの方であることはこのことからも明白だ。その言い伝えをここですべてご紹介できないが、《gallo de Morón》というのは、ある人物の「あだ名」で、彼が「身ぐるみ剥がれてこの町から追い出された」ことに由来し、《Anda que te vas quedando como el Gallo de Morón, sin plumas y cacareando en la mejor ocasión》なる歌(「あれまあ、あなた、自画自賛しつつ身ぐるみ剥がれたモロンの鶏さんのようになっているよ」)が残されている。後半部分の《como el Gallo de Morón, sin plumas y cacareando en la mejor ocasión》については、辞書には「負け犬の遠吠え」などと出ている。つまり、身ぐるみ剥がれ辱めを受け、バカにされたにも関わらず傲慢な態度を続けている人のことを揶揄しているわけだ

  例) Aquí saldremos como el gallo de Morón.
    (-悔しいけれど-胸を張ってここを出ていこう)

3. 『hacerle a uno un hombre』
   「ある人を男にする・したてる」。こう訳すことができるわけだから、「あ〜、なるほど」と、これを慣用句だとは疑う人は少ない。しかしこれが怖い。つまり、訳すのがなかなか困難な表現や、あまり見受けない表現、訳すことはできても前後関係から何かしらしっくりこない表現等々の場合なら、「あっ、これは慣用句なのかも知れない」っと、慣用句を探す作業を始められるのだが、この慣用句のように、直訳でも結構意味が通じてしまうとやっかいだ。まあ、これまでにも同じような種類の慣用句はいくつもご紹介したので、このシリーズをずっと読んで下さっている読者にとってはさほど新しいことではないかも知れない。しかし、何れにしても、この手の慣用句も多く存在するので、お気をつけ下さい
さて、ではどこがどのように慣用句なのかと言えば、「男にする」のではなく、『(誰か)を引き立てる・庇護する』というのがこの慣用句の意味で、微妙に意味が異なっている。これはやはりこの《hacer》動詞に秘密があるわけだ。まあ、秘密というわけではないが、動詞《hacer》自体の曖昧性と言うか、前後関係から、どのようにも使える「するの意」がすべてを語っているのだろう
もっとも、この終わり方は自分でも何かうまくないと思っている。そこで、お詫びの印と言っては何だが、もう一つ別の慣用句《poner toda la carne en el asador=全力を尽くす》と組み合わせたこの慣用句を例文にご紹介することでお許し願おう

  例) García había puesto toda la carne en el asador a favor del de Ávila: "Le he hecho un hombre", diría don Antonio.
    (ガルシアはアビラ(出身の)の奴のために全力を尽くした分けだが、アントニオは「俺が奴を助けてやったんだ(今の奴があるのは俺のお陰だ)」と言うだろう)

  さて、ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)
  以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.76号(2007年02月末発行)』に掲載されたものです

 

Delfin_Izq

Delfin_Dch