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Monólogo de un pasota == Serie III 197 ==
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第三編 『スペインの慣用句』 (その197)
今回は『matar dos pájaros de un tiro』に目を向けようと思う
この慣用句は超有名慣用句と言っても過言ではないので、今更ながら、或いは、わざわざ採り上げなくても良いだろうと思っていた慣用句である。しかし、実に興味深い用例を見付けたので、ご紹介することにした
さて、この慣用句自体は「一発射で二羽の鳥を殺す」と言うわけで、日本語の慣用句にも「一石二鳥」があり、我々にとっては実に親しみ深く、スペイン語学習者の間でも、結構、早い段階で覚えてしまう慣用句だろう。もっとも、ではそれを旨く自分で使えるのか?どうか?については、これはまた別問題なのだが
例) Mira, ya que vas a correos, cómprame sellos y así matamos dos pájaros de un tiro.
(郵便局に行くんだったらさ〜、切手を買ってきてよ。一石二鳥でしょう)
さて問題の用例がこれである。ここに挙げた文は、我々日本人の感覚(少なくとも筆者の感覚)からは少々受け入れがたい。なぜならば、話者は「estamos」と発言し、いかにも双方の徳になる、或いは、両方が得するような口ぶりをしているが、どう考えてもこれは、一石二鳥というよりは、話者側が一方的に「旨い汁を吸う」、自分は何もせずに何かを「掠りとる」的な「我田引水」の観が否めないように思えるのである。しかしながら、この用例はある有名な西西辞書に掲載されているスペイン語人が作った用例なので、スペイン語人的には、これもまた「一石二鳥」なのだろう。無論、この短文の背景や前後関係が分からないので、一方が郵便局に行って二人の用事を済ませている間に、この話者もまた二人のために何かをしている可能性もないとは言えないのだが・・・。読者諸氏はどう受けとめられたのだろうか?それにしても、文化の違い、考え方や捉え方の相違とは本当に難解かつ厄介である
さて、ご質問・ご意見をお待ちしている。(文責:ancla)
以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.93&94合併号(2008年08月末発行)』に掲載されたものです |
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