去る2004年3月11日のマドリードで起きた「列車連続爆破テロ」は、私たちスペイン語学習者にとっては、特に、何とも表現し難い悲痛な事件となってしまいました。そして、当事者であるスペイン国民は、3日後の14日に行われた総選挙にて明確な答えを出しました。スペイン史上かつて無かった今回のテロ事件は、『歴史を変えた』と言ってもけっして過言ではないかもしれません。テロの前日までは、過半数にまでは至らなくても(一部の予測では過半数獲得の結果も出ていました)PP(国民党)が政権を維持するはずでした。しかし、スペイン国民は、このような事態を引き起こした原因を作ったPPに責任をとらせることを選択しました。そして、野党第一党のPSOE(社会労働党)が大逆転の末、下院164議席を獲得し、政権に就くことになりました(もしご希望が多ければ次号で詳細な選挙結果や分析を掲載致します)。ただし、上院では、PP=102、PSOE=81で逆転は起きませんでした。PSOE政権の先行きは、決してその党花のようなバラ色ではないようです。
ここで、できましたら、読者諸氏には、202名の犠牲者の方々の追悼のために『un minuto de
silencio』をお願いしたいと存じます。「黙祷!」
さて、このような理由にて、今号の「e-yakuニュース」は、完全追悼版とさせて頂くことになりました。そこで、誠に申し訳ないのですが、毎号で掲載しております「通学塾情報」・「HP情報」をはじめ、前号から始まり、大いに期待がもたれている、夜のしじみ氏原作の「読んで楽しい超中編連載読み物『スペインよろよろ紀行』も、そして、「Monólogo
de un pasota」も、「スペインの慣用句」も、すべてお休みさせて頂くことになりました。これらの連載を楽しみにして下さっている読者の皆様には大変申し訳なく思いますが、何卒ご理解下さいますようお願い申し上げます。
ただし、メルマガの読者でない方々で、HP上での月替わり「短文翻訳」を毎月末楽しみにして下さっている方々がおいでになります。したがいまして、これの更新だけはさせて頂きますので、文末にいつものように、「短文翻訳」のみは掲載いたします。
読者の皆様のご友人等々の関係者の方々で被害に巻き込まれた方はおいでにならないことを祈るばかりですが、マドリード在住のメルマガ読者の方々をはじめ、元本塾の講師で、現在、マドリード大学で日本学講義のために現地においでになる松井先生、そして、本塾からの留学生など、本塾の関係者につきましては、事件後の調査によって、全員無事だったことが判明しておりますますので、あわせてご報告申し上げます。唯一、本塾講師の旧友の知り合い(19才の看護学生)の女性が一人犠牲者となりました。実に残念です。
尚、すべての連載ものの代わりと言ってはなんですが、古いメルマガ読者は覚えて下さっているかもしれません。以前「マドリード便り」の記事を担当して下さっていた森統氏より、今回のテロ事件に関する便りが現地マドリードより届いておりますので、その一部を掲載させていただくことに致します。この場をお借りして、森氏に御礼を申し上げます。
「マドリード便り」
2004年3月13日、喪中のスペインに雨が降っています。
昨夜、降りしきる雨の中、スペイン全国で展開されたテロ反対デモには1,100万人が参集し、昨年のイラク戦争反戦デモに匹敵する大集会となりました。
部屋に掲げた今年の富士通鰍フ海外向けカレンダーの3月のテーマ写真が、たまたまスペインのマドリードのアトーチャ駅の美しいコンコースです。
3月11日、午前7時39分。マドリード市の東南部のグアダラハラ市駅を発した通勤者で満員の近郊電車が、マドリードのアトーチャ駅構内に入ろうとした際、突然3輌目の車両で大爆発が起こり、その後4輌目、最後部の6輌目車両と矢継ぎ早に爆発が続きました。
その3分後、同じ路線のアルカラ・デ・エナエレス市駅を、定刻の午前7時に発しマドリード・アトーチャ駅に向いつつあった列車に仕掛けられた4個の爆弾が、同駅到着寸前の600m手前で1,3,4,6輌車で炸裂しました。
さらに同時刻、後続の7時10分にアルカラ・デ・エナエレス市駅を発したアトーチャ行きが、その手前のエル・ポソ駅構内で3輌目に爆発を起こし、その後々続の7時15分アルカラ・デ・エナエレス市発もサンタ・エウヘニア駅で3輌目、4輌目で爆発を起こしました。結果的にはこの一連の爆発で、死者201名、負傷者1,400名超という数字が公表されました。
これはスペイン史上始まって以来のテロ被害であります。
刻々と報道される、ラジオの情報は被害地点の多さと救急活動の複雑さを伝え、街中に響きわたる救急車のサイレンの音が、出勤前のマドリード市民に、その日は異常な日となる事を知らせました。
事件発生の一時間後位には、混乱の中からも事の実態が見え始め、列車毎の被害者の数も、通常のテロのスケールではない大規模な複数列車を狙ったテロである事が判明し、市民がそれぞれ救済活動に参加し始めます。
マドリード市の公安局の献血呼びかけに応じ、5,000人近くの市民が列を作るというようなエピーソードがたくさん生まれだすことになります。
しかし、テレビ画面に映し出される現場の情景は、とても正視できない惨憺たるもので、天井が吹き飛んだ列車の周りに散乱する死体、うごめく負傷者。線路脇に座り込んで動けない負傷者の群れ、その虚ろな表情がアップされると、自分と彼らを隔てるのは紙一重の運ではないのかという後ろめたい気すら起こさせます。
テロに遭ったどの列車も、毎日、Corredor de Henares
(エナレス河岸地帯)と呼ばれる地域の町々から、学生や通勤者を拾い満員になってマドリードに到着する庶民の電車です。
古い大学都市であるアルカラ・デ・エナレス市一帯は、最近マドリードのベッドタウンとして急速に開発が進んでいる地域です。特に、近年、スペインに押しかける移民労働者(旧東欧諸国、特にルーマニアや中南米のエクアドル、ペルーその他)が集まりすんでいるところで、今回の犠牲者にも多く含まれています。
乗客の大半は労働者や学生(たまたま3月11日は、大学ストがあったため大学生の多くはは難を免れた)で、通過する街々もマドリードの労働者階級が住む下町です。
3月14日は総選挙が行われる日でした。したがって、この2週間は、スペインは選挙戦の真っ只中にあったわけです。このテロの発生で、最後の追い込みであった11日と12日の選挙活動は、全政党が自粛するという事で取りやめとなりました。
最後に、地味な場面での、マドリード市役所の緊急事態に対する対応の手際良さと、いつもながら市民の見せた連帯意識と行動力には頭が下がる思いがしています。
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短文翻訳 2004年03月末更新分 (381-390)
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01. *-A) El estrés puede ser una causa de
algún tipo de malestar.
ストレスは君が抱えている何らかの体調不良の一因となり得る
02. *-B) El estrés puede ser la causa de
que tengas algún tipo de malestar.
君が何らかの体調不良を訴えるのなら、ストレスが原因であり得る
03. *-C) El estrés puede ser una causa de
que tengas algún tipo de malestar.
君が何らかの体調不良を訴えるのなら、ストレスが一因であり得る
04. *-D) La posible causa de que tengas
algún tipo de malestar, puede ser el estrés.
君が何らかの体調不良を訴えることについては、その考え得る原因としてストレスがある
05. *-E) La posible causa de que estés
teniendo algún tipo de malestar, puede ser el estrés.
君が何らかの体調不良を訴えていることについては、その考え得る原因としてストレスがある
06.
La gente comentaba mucho sobre las posibles razones por
las que fue asesinada la mujer.
人々は女性が殺されたその考え得る原因についてあれこれと噂していた
07.
Los peces del mar que ingerimos también padecen
enfermedades.
我々が口にする海の魚たちもまた病気になる
08.
El anticiclón trae buen tiempo sólo para los que se
portan bien.
高気圧は行いの良い者たちだけに良い天気をもたらせる
09.
Sólo con imaginar una forma espiral me mareo.
渦巻きの形を想像するだけで私は目が回ります
10. La humedad es molesta
pero también es con lo que nuestra piel se humedece.
湿気は鬱陶しいが、私たちの肌を潤わせてくれるものでもある