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スペイン語翻訳通訳

Instituto de Traducciones de Tokio

翻訳・通訳学習を通して、本格的に、そして、本腰を入れ、じっくりとスペイン語を学び、実践的なスペイン語能力を身に付けたい、伸ばしたい人のための塾です


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Monólogo de un pasota == Serie I-08 ==
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『馬耳東風』第一編 スペイン語文法 番外編

   先月は、突然に、しかも一方的にお休みを頂き、本当に申し訳ございませんでした。でも、これで、このシリーズの作成はそう簡単なものではないのだ、少なくともその準備には結構時間がかかっているのだということがご理解いただいたかと思います。まあ、好きでやっているのでそれはいいのですが、時間的にどうしようもなくなった今回のようなときなどは本当に心が痛みます。本当ですよ。しかも、状況は先月末よりは若干ましとはいえ、まだまだ時間の余裕がない状況が続いています。そこで、今回は少々短いMonólogoになりそうです。

   前置きが少々長くなりましたが、今回は、la raya(−)とel guión(-)のお話をしましょう。

   スペイン語では両者とも頻繁に使用されますが、我々日本人は、スペイン語文にも拘わらず、どうしてもel paréntesis( )を使用しがちです。無論それも悪くはないのですが、今回ご紹介するla raya(−)とel guión(-)の方がスペイン語の文中にはより多く使用されます。

   但し、この二つの符号の見分けがなかなか付けにくいので要注意で、一目瞭然とは行かないので意外に厄介です。la raya(−)は、el guión(-)よりも長い横棒だという違いだけなのですが、その使用方法はまったく違います。
まず、la raya(−)ですが、これはel paréntesis( )と同様の役割をします。つまり、

   例-1) Ustedes deben de ser Ivan y Rafael−amante de María−. Creo que les entregaron este maletín para trasladarlo aquí.
         貴方はイバンさんとラファエル(マリアの愛人の)さんですね。そのアタッシュケースをここに運ぶように依頼された方々だと思うのですが。

   と、いうように、我々日本人が挿入するとすれば、まず間違いなくel paréntesis( )を入れてしまいそうな場所で使用します。

   一方、小説などの登場人物の『セリフですよ』ということを知らせる場合に使用される方法も一般的です。つまり、日本語なら、「」を使用する場面でこのla raya(−)が使用されるわけです。

   例-2)−¿Sabes lo que solía hacer de adolescente cuando me mareaba en el avión?
        −Ni idea. Lanzarte en paracaidas o algo así.
         「子供の頃、飛行機酔いした時に俺が何をしてたか知ってるか?」
         「さあ。パラシュートかなにかで飛び降りる、とか?」

   てな具合なのですが、複雑なのはここからです。例-1)でも見ましたように、何かを説明するときにla raya(−)が使用されるわけですから、例-2)のようなセリフの中で何か説明が必要な場合にはどうなるかというと、次のようになります。

   例-3) −¿Quién te ha enseñado a leer?−me inquirió mi padre.
        −La criada−respondí yo.
         「誰がお前に読み方を教えたんだ?」と、父が聞いてきた。
         「お手伝いさんだよ」と、僕は答えた。

   と、いう風に、セリフの開始を知らせる符号と、そのセリフの中の説明が開始されることを知らせる場合の両方でこのla raya(−)が使用されるので、馴れるまでは少々戸惑うかも知れません。したがって、次のようなケースも出てきます。

   例-4) −Eso es lo que ha dicho papá−intervine yo−. Que no diga estupideces.
         「それ、パパも言ったよ」と、僕が割って入った。「バカ言うんじゃない、って」

   と、いうことで、セリフ途中のla raya(−)は、あくまでも説明(ト書き)であって、セリフはまだ続いているわけです。ですから、一つのセリフに何度も説明がついたりするような場合には、どこからどこまでが説明で、どこからがセリフに戻るのか、それとも、セリフはもう終わっているのかの判断を迫られたりします。尚、例-2や-3でも明白なように、行が変わってla raya(−)になった場合は、別の人のセリフが始まったお知らせにもなることも覚えておきましょう。

   次ぎにel guión(-)ですが、最も頻繁に使用されるのは、その行だけで1つの単語が収まりきれない場合に、次の行にその単語を継続させる場合に使用する方法でしょう。これはみなさんもよくご存じだと思います。ただ、その切る場所が守られていない場合が多いように思われますのでご注意下さい。必ず音節の最後で2分しなければなりません。

   例-5) Berta era nuestra ve-
       cina.
         ベルタは近所の女の子だった。

   その場合、音節によってはちょうど旨い具合に行の最後にこのel guión(-)が来ない場合があります。つまり、スペースが余ってしまう場合と、その逆に入りきれない場合(音節の最後の文字が行の最後になる場合)の両方ですが、前者の場合は、行の最後になるまでel guión(-)を2個でも3個でも連ねるしかありません。後者の場合は、音節の最後のも自の下に下線を引いてこのel guión(-)に変えます。

   例-6) Unas manos invisibles me presionaban el pecho con insisten--
       cia.
       Unas manos invisibles me presionaban el pecho con insisten
       cia.
         見えない手が執拗に僕の胸を締めつけていた。

   もっとも、最近は技術の進歩で、タイプライターでは不可能だったこの行を変える場合の調整は、コンピュータの『ワードラップ・システム』でもって、一つの単語が途中で切れないように自動的に調整してくれるので、これらの用法も消えていくのでしょうか?ただ、一昔前の富士通のワープロ『オアシス』が持っていたこのワードラップの技術は、ウインドウズのワードでは生かされておらず、この調整をするために単語と単語の間隔がもの凄く空いたりして大変みっともない状況が頻繁に見られ、これらを調整し、見よい文章にするにはやはりこのel guión(-)に頼らざるを得ないわけです。

   最後にもう二つだけel guión(-)の使用法をご紹介しておきます。これらもよく見るものですが、二つの単語で校正された言葉を区別する場合と、年月日の区別に使用される場合です。

   例-7) Hoy día no se puede hablar de la vida sin contar con el elemento socio-económico.
         最近は社会経済を無視して生活は語れなくなっている。

   さて、符号や記号(signos)シリーズもいよいよネタ切れになりそうで、次はどんなシリーズを始めようかと思案中です。何かご希望があればメールにてお知らせ下さい。次のアイデアが固まっていない今ならまだ考慮させていただきますので宜しく。
 
   以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.13(2001年11月末号発行)』に掲載されたものです