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スペイン語翻訳通訳

Instituto de Traducciones de Tokio

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Mascota
"Umi-chan"

 

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「海ちゃんと映画」 "Umichan y Cine"  Temporada-III
 

 

 製作国  米国・コロンビア  製作年  2004年 日本公開2005
 原題名  María, llena eres de Gracia
 日本名  そして、ひと粒のひかり
 英語名  María Full of Grac
 監督  Joshua Marston
 出演  Catalina Sandino Moreno
 受賞  アカデミー賞にノミネート / ベルリン国際映画祭女優賞 / インディペンデント・スピリット賞
   
 

 
 

第五話

 

 
 マリアは17歳。貧しい家に生まれたマリアの肩には家族の生活がかかっています。身を粉にしていくら働いても給料はわずかで、ゆとりのある生活は手に入りません。17歳と言えば、きらきらとしたイメージを将来に抱いて夢や目標を追う年頃です。懸命に勉強をしたり職業訓練に励んだりする年頃なのに、マリアの世界には延々と続く今を生きのびるための単調な毎日の繰り返しがあるだけなのです

 そんな出口の見えない状況に閉じ込められていれば、始まったばかりの人生を生きている未熟な若者たちが行く方を見失って迷走してしまうのも不思議ではありません。異性との関係はてっとり早い逃避先となります。マリアも、なんのタシにもならないようなオトコの子供を妊娠してしまいます

 そんな、身動きのとれない貧困の中で、まとまった金額のお金を貰える「仕事」の話を持ちかけられれば、魔法にかかったかのように惹きつけられてしまうのも道理というものです。麻薬の運び屋の話には悪臭がふんぷんとしているのに、「お金さえあれば、もっと楽に、もっと自由になれる。幸せになれる。」と、麻薬の入ったカプセルを懸命に飲み込み、まさに体をはった運び屋となります。行き先はニューヨーク。同じ飛行機には面識のない者を含め何人かの「仲間」が乗り込んでいました

 ニューヨークに到着し、入国審査であやしまれたマリアは足止めをくいますが、ここで捕まったらお話が終わってしまいます。幸運にも、妊娠していることからX線による検査を免れ、無事、ニューヨーク入りを果たします

 金持ちにとってのほんのわずかな金額の報酬欲しさに、命の危険をおかし、麻薬マフィアの下働きとなり苦しみながら幾多のコカインのカプセルを飲み込み込むことの不条理。もし、体の中でカプセルが破れれば、同じ飛行機に乗ってきた仲間のルーシーのように命を失ってしまいます。ルーシーの凄惨な死に直面し、マリアたちは自分のたちのやったことの恐ろしさに震え上がったにちがいありません

 お役目を果たし、コロンビアに帰るため、飛行機の搭乗口に向かって進んでいたマリアはふと立ち止まります。出産間近の大きなお腹をしたルーシーのお姉さんが、マリアたちを自宅に泊めてくれたときに言った言葉、「コロンビアには可能性はない。ここにいれば少なくともこの子には可能性がある」にマリアも心の中で大きくうなずいていたのです。きりっと結ばれた口元、強い意志を湛える目。「ここまで来た。このチャンスを無駄にはしない」

 マリアの体の中には何十個もの麻薬のカプセルとともに、かけがえのない命がやどっていました。その子に助けられたからこそ、今、マリアはこうしてニューヨークにいるのです。彼女はその大切な「ひと粒のひかり」のためにこのチャンスをぎゅっと握りしめ、見知らぬアメリカで暮らす決心したのです

 中南米の国々では概して富の配分が極端に偏っている不平等社会ができあがっています。ほんの一握りの人々に富が集中するしくみになっているのです。強い者のエゴと欲が作り出した「弱肉強食の掟」が社会制度内に巣食い、大手を振ってまかり通っているのがコロンビアの現状でしょう。この映画は今から16年前に制作されたもので、今ではコロンビアは経済面で「南米の優等生国」といわれるようですが、果たして国民一人ひとりはどんなふうに実感しているのでしょうか?世界のリーダーを自認するアメリカでは人口の0.1%の人々が富の半分を握っているというのも風説や空言ではないでしょう

 今や「グローバル化」という名の「強奪の資本主義」が世界を飲み込み、進行中です。目に見えるところでは、日本の商店街にもシャッター通りがたくさん出現しました。かつては自由と平等の国と言われたアメリカン・ドリームの国ですが、私達のごく身近なガーファさんも明確にそちら側の人たちです。このことに無自覚でいると、「鍋の中で徐々にあたためられているカエルだった」ことを悔いることになるのです



海ちゃん:弱肉強食といえば、「
Pez grande se come pez pequeño」。大きい魚は小さい魚を食べるってことで「弱肉強食」。僕ちゃんは「Pez grande」を食べるから、いちばんエライ、えっへん!
アウトーラ:切り身を食べていばってるなんて、海ちゃんはオメデタすぎる。マグロは海ちゃんよりずっと大きくて強いから、海で遭遇したら海ちゃんが食べられちゃうんだよ。さて、この映画のこと。製作国は米国ですが舞台も出演者もすべてコロンビア人なので実質的にはコロンビア映画と言えます。コロンビア映画、珍しいですね。日本でも
2005年に劇場公開されたそうですが、今はYoutubeで無料で見られます。マリア役のカタリーナ・サンディーノがめちゃ可愛くて、それだけでも見る価値あります!
海ちゃん:うにゃっ!!たしかに、マリア役の女優さん、いいにゃ。いかにも良家のお嬢様って雰囲気でこの汚れ役にはちょっとキレイすぎると思ったけど、そこがまた好感がもてるにぇえ。僕ちゃんが大好きな栄倉奈々ちゃんにちょっと雰囲気が似てるにゃん。栄倉奈々ちゃんと言えば、「家に帰ると妻が死んだふりをしています」を見たにょ。手を変え品を変え、奈々ちゃんがいろんなパターンで死んだふりをするのがめちゃ面白かった!!どっちの映画もオススメ!   では、またにぇ!
 
 

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