「海ちゃんと映画」
"Umichan y
Cine" Temporada-III |
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製作国 |
スペイン |
製作年 |
2017 |
原題名 |
No sé decir adiós |
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英語のタイトル |
Can’t Say Goodbye |
日本語のタイトル |
さようならが言えなくて |
監督 |
Lino Escalera |
出演 |
Nathalie Poza, Juan Diego, Lola Dueñas |
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第九話 |
「日 |
2018年にゴヤ賞、フォルケ賞、フェロス賞などを受賞していることや、そのタイトルの印象から、おそらくスペインや中南米の国の映画によくある「重量系」のドラマだろうと予測をつけて鑑賞しました。予想に違わず、「重い余韻」の残る映画です
カルラとブランカはふたり姉妹。彼女たちの父親の余命が幾ばくもありません。二人の母親はもうとうに死んでしまっています
カルラはバルセロナでサラリーウーマンとして営業職について働いていますが、充実感が得られず日々を虚しく感じています。ブランカは結婚して思春期の娘がいますが、夫は彼女の収入をあてにし働こうとせず、女優になりたいという夢を実現するために努力するものの果たせません。二人とも幸せではありません
ふたりの父親のホセ・ルイスは貧しいながらも懸命に働き、ぎりぎりで家族を支えてきたのでしょう。その父が倒れ、さして楽しい思い出もないまま死のうとしています
生きがいあふれる充実した人生などにホセ・ルイスは縁がありませんでした。そんな夢は一部の恵まれた人々だけが見ることを許される幸福な夢。「父の人生は何だったんだろう。そして私の人生は?」と思うふたりはこの現実を受け入れられません
父のいるアルメリアに駆けつけ、病室に泊まり込むカルラに、「そんなベッドじゃ、休まらない、立って眠るのも同然じゃないか」と気遣う父親。病室には見るともなしにテレビがついています
「癌は一日や二日でできたものじゃない。孤独がいつの間にか耐え難いほどに大きくなっていったのと同じように、長い間かかって気づかないうちに少しずつ大きくなったに違いない。父はなぜそんな目に合わなければならないのか。バチがあたるようなことは何もしていないのに」
姉妹とはいえ、カルラとブランカは性格がまるで違います。カルラは不安を他者への攻撃に転化することで心のバランスをとろうとします。これとは対照的に、ブランカはじっと自分の心を見つめ、悲しみを受け止めます。そして周りへの配慮も忘れないのです
ブランカは穏やかな最期を家で迎えさせたいと決意し、父を家につれて帰りました。でも、カルラは諦められません。高度な医療を受けさせようと、いったんは家に帰った父を連れ出し、自分が住むバルセロナの病院に転院させてしまうのです
しかし、高度な医療も奏効せず、病室にいたカルラは父の死が避けようもないことを悟ったのでしょう。いっそう現実逃避的になり日常を装うために反射的に父にテレビをつけて上げようとしました。カードは買ったばかりなのにテレビはつきません。何気に日常を装うという目論見が失敗したことで激しく動揺したカルラはヒステリックに受付に苦情を言います
きっと、自分の人生と父の人生を重ねているに違いありません。父の人生がこのまま終わってしまったら、自分の人生も同じように虚しく終焉するに違いないと感じているのです
カルラは気持ちが外方向に向かっている性格です。物事が順調なときは魅力的で輝いていますが、自分の心を分析することが苦手なため、どうにもならない逆境に遭遇すると、無力感が怒りとなり攻撃的になるのです。世の中の不条理に合点がいかず全力で拒絶しようとします。一方で、内向的なブランカは、ほころびから漏れ出てくる悲しみと自分の心をじっと見つめ、諦観という静けさに身を委ねようとしているかのようです
ラストシーンでカルラが見たものは何だったのでしょうか。バタバタと父の部屋に駆け込んでゆく医師らの姿だったのでしょうか
海ちゃん:ラストシーンでカルラが見たものは何だったのでしょうにぇ?
アウトーラ:仏教的にみると、現実を受け入れて最善を尽くそうとしたブランカは「光明」、現実を徹底的に否定しようとしたカルラは「無明」ってことね
海ちゃん:アウトーラは頭を剃ってお坊さんになったらいいにぇ
アウトーラ:ふたりとも、父は不幸だったって決めつけてるよね。それなりに小さな幸せを見つけて満たされていたかもしれないのに
海ちゃん:言えることは、この映画は、「後は自分で考えてねっ」っていう「ご想像におまかせします映画」だにぇ。どんな結末かは自分で好きなように考えてにゃ…後は自分で考えてにぇっ…スッキリしないにょ…。後は自分で考えてにぇ…スッキリしないにょ…後は自分で考えてにぇ…
猫のようにしなやかに生きようにゃっ!では、またにぇっ!! |
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