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スペイン語翻訳通訳

Instituto de Traducciones de Tokio

翻訳・通訳学習を通して、本格的に、そして、本腰を入れ、じっくりとスペイン語を学び、実践的なスペイン語能力を身に付けたい、伸ばしたい人のための塾です


Mascota
"Umi-chan"

 

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「海ちゃんと映画」 "Umichan y Cine"  Temporada-III
 
       
 原題名 Marnie  製作年 1964
 スペイン語題名 Marnie, la ladrona   カラー
 日本語題名 マーニー
 製作国 米国  監 督 : アルフレッド・ヒッチコック
 出演 ティッピ・ヘドレン  /  ショーン・コネリー
 
 

     

第十八話

 
  巨匠、ヒッチコック監督の映画作品はとてもたくさんあるのに、「昭和」的古くさい映画という印象があったためほとんど見ていませんでした。ずいぶん昔に監督の有名な作品、「鳥」をテレビで見たのと、その後、音楽の使い方が芸術しているなぁっと印象に残っている「知りすぎていた男」を見たぐらいです。この映画、「マーニー」は、泣く子も黙るショーン・コネリーとティッピ・へドレンという美男美女俳優が主演なので、今頃になって見てみたくなりました
  この映画の映像は素晴らしいです。例えば、馬に乗って走るシーンでは背景を動かすことで走っている感を出すおなじみの手法が用いられていますが、背景と前景の合成に不自然な感じはあるものの、制作された年代を考えれば充分に鑑賞に耐える出来上がりになっています。この映画では監督が自身の美学を作品全体に全力投入しているのが感じ取れます。とくに、マーニーがマークの会社の金庫からお金を盗みだすシーンの計算された構図と静寂が息を飲のむような美しさで、ハラハラ・ドキドキのサスペンスを存分に堪能させてくれました
  「ストーリー」や「構成」や「本当らしさ」以前に、芸術美ありきという作品です。きっとヒッチコック監督の映画はこんな感じで、ストーリーの整合性より映像美や音の使い方を優先させているものが多いのではと想像します。美しい色彩と音響を効果的に使って奥行きのある構図をびしっと決め、美人、美男俳優の演技で、運命の過酷さや残酷さ、人間心理の怪奇さを作品に投影して観客に迫るのですから堪えられません。ヒッチコック監督の迫り方は、「皆さんも一緒に考えてね。どう思う?」と問いかけるのではなく、「どう、芸術してるでしょ。えっへん」とドヤ顔を向けてくるやりかたのように私には感じられます
  マーニーは、男性恐怖症で、嘘つきで泥棒で、赤い色と雷の音でパニック発作を起こすという問題を抱えています。そのことを知りながらも会社経営者、マークは彼女が好き過ぎて強引に結婚をしてしまいます。強引な男は男性的で魅力があります。ましてやあのショーン・コネリーですから、その魅力に男性恐怖症のマーニーも負けてしまったということでしょうか
  マーニーの精神病的な問題、特にパニック障害については子供のころのトラウマが原因にちがいないとマークは気がついていたようです。マーニーに惚れ抜いているマークは自分が彼女を救うのだと一生懸命だったのでしょう。精神科医のフロイト先生よろしく、マーニーが繰り返し見る悪夢や、マーニーとの自由連想による精神分析的会話の内容から見当をつけたうえで、彼女をつれて母親に会いにゆきます。実際、幼少期に原因があるPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、親が最も重要な関連人物として鍵を握っていることが多いです。マーニーの場合は、その「事件」が起こった小児期に、拒絶的な母から充分な愛情を得ることができず、不安定な心理状態が続いていたことが背景にあったのでしょう
  たまたま夫とともに母親の家にいるときに、神風的なタイミングで嵐がおこり雷が鳴り響いたことが追い風となります。トラウマの原因となった「事件」が起こったときと同じような嵐の夜が再現されたのです。マークの誘導と雷でフラッシュバックを起こしたマーニーはすべてを思い出し、その「事件」を(疑似)再体験することで自分が抱える精神的な問題の原因を理解することができました。大人になったマーニーが過去の原因に気づいたことで、彼女の中の傷ついた子供は癒やされ、恐れを手放すことができたのです。今後、夫のマークとの仲もうまく行くであろうことが示唆され、同時に、母親にもセラピー効果があったようで、母が彼女にやさしくなったというめでたいお話です
  マーニーの男性恐怖症は深層心理では母の期待に応えることで起こりました。でも表層意識のマーニーは母が原因とは気づかないまま男性に興味のない慎み深い女性であろうとして男性恐怖症になっていました
  女優、ティッピ・へドレンは映画の中でずっと硬い表情をしています。男性恐怖で、嘘つきで、泥棒で、パニック障害なマーニーを演じていたからなのですが、表情に工夫が感じられず、「ダイコンでしょうか?」と思ってしまいました。でも、この映画の直前に撮影された有名な「鳥」では、ティッピの表情はもっと変化に富んでいて、生き生きとして笑顔が素敵でした。ウワサされていたようにヒッチコック監督のセクハラが原因で監督とうまくいかなくなり、この映画の撮影段階ではすでに「あんたの言うことは絶対に聞かへんで」状態になっていたのかもという憶測は、この両方の映画を見ると確信に変わります
  まぁ、荒唐無稽だとか、科学理論に合わないとか、理屈が通っていないとか、ダイコンじゃね?とかは、芸術作品の前ではあまり重要ではないのですね。作者のイマジネーションを楽しめればいいのだと思いました。最後にいい映画だったなぁっ、と思いましたから

アウトーラ:この映画を作るのに巨匠、ヒッチコック監督は、心理学の巨匠、フロイト先生やユング先生の学説を参考にしたと思えるのだけど、この巨匠たちにも心理的な問題があったかもですね。とくにフロイト先生は「自分は正しい」、「相手は正しくない」という石頭な方だったようで、弟子たちの見解を認めたり褒めたりしませんでした。でも、人のココロのことですよ。算数じゃないんだから「絶対に」正しいとか正しくないとかってのはないと思います。弟子たちと一緒に仲良くより良い治療法を考え出せばよかったのにと思います。頑固オヤジの時代は「昭和」で終了しました。はい
海ちゃん:さっき、Google先生に相談してフロイト先生のこと教えてもらってたにぇ。アウトーラ…付け焼き刃の知識で妄想しちゃだめにょ
アウトーラ:バレたか、残念!海ちゃんはよく観察しているね
海ちゃん:はい、獲物を狙うには距離や速度の見当を正しくつけなければなりませんので観察眼は欠かせませんにゃ。ところで、僕ちゃんは、ハンプティ・ダンプティみたいなおじさんが映画の初めのほうで、ホテルの部屋から廊下に出て来て、こちらをドヤ顔で見たのに気づきましたにぇ。この人こそが巨匠、アルフレッド・ヒッチコックさんですにぇ。これを「カメオ出演」と言うそうですにゃ(⇐さっきググった)。ドヤッ!
では、またにゃっ!
 
 

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