『月刊・スペイン語あれやこれや』 "Español
Variopinto,
Mensual"-I-03 |
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年越しぶどうと五月晴れ
「Oye, márchate ya. Si no, te vas comiendo más
uvas. Es que el trabajo nos viene pisando los talones. Estoy hasta las narices. Son los
peores momentos de mi vida. 」
夜9時ごろだった。上司が文書作成をしている手をとめて私にこう言った。私はお言葉に甘えて帰らせてもらうことにした。実際、ここで逃げておかないと仕事はいくらでもやってくる
冒頭の表現の「uva」とは、年末の除夜の鐘の音に合わせて、来る年の幸せを祈って食べる12粒のぶどう(LAS
UVAS DE LA SUERTE)のことである。私達の年越しそばのようなもので、スペインではこのとき大人も子供もいっせいにブドウを食べる。皮あり、種ありのブドウを、鐘の音においてゆかれないように食べるのだ。心に染み入るようなゆったりとした日本の除夜の鐘の音なら味わって食べることもできるだろう。しかし、スペインの除夜の鐘とは12時を知らせる時計の時報のことをさしている。だから、12回鐘がなる間に12粒の葡萄を食べるのがいかに忙しいか想像がつくだろう
各自がブドウに無心に取り組んでいる様を想像すると実にほほえましいが、最近は、皮をむいて種をとりだしシロップ漬けにした12粒のブドウを缶詰にしたものが売られており、Comodidad(便利さ)とEficiencia(能率)を重視する現代スペイン人に受け入れられているという。何が何でも時間内に12個食べようというわけだが、これではご利益が半分になっても文句は言えないだろう
冒頭の上司の発言は「もう、帰りなさい。そうしないとどんどん仕事をさせられてしまうよ。仕事が僕らを追いかけてくるんだ。最悪だよ。いい加減にうんざりだ。」といった意味だ
彼のこの発言に私はふと思い出したことがある。4-5歳のころ、綺麗な若草色をした大きな球状の謎の存在に追いかけられる夢をみて泣きながら目を覚ましたことだ。あのマスカット様のお化けの姿は何十年もたった今でもはっきりと記憶している。もしかするとあの夢はこの状況を暗示するものだったのかもしれないなと迷信家な私は思う
5時のチャイムがなる瞬間には門を出つつあるという「超5時ピタ・アフターファイブ人間」である私が夜の8時-9時まで連日働いている。ここのところ雨が多いのも仕方がないことかもしれない。しかし、今のところ、ひょうもあられも降った様子はないのが救いだ。ともあれ、五月晴れを人々から奪っているのではないかと残業をしながら罪悪感を覚えている毎日である
海ちゃん:日本では、そばにあやかって長生きをしようと年越しそばを食べるのにゃ。お母さんが長生きするために食べなさいっていうから少し食べるけど、でも、僕はカリカリキャットフードのほうが好きにゃ
Umichan: En la Noche Vieja aquí se comen fideos de “soba” rezando por una larga
vida, por que la vida sea tan larga como la soba. Como un poco, ya que mamá me dice
que coma para que viva mucho. Pero a mí me gustan más las comidas secas.
スペインのニャンコ:スペインでは新年を知らせる12時の鐘の音にあわせて葡萄を12粒食べるにょ。ワインの国スペインでは、来る年のぶどうの豊作を祈ってぶどうを食べたのだろうと思うにゃ。でも、本当は僕もカリカリキャットフードのほうが好きにゃ
Ñanco de España: En España se comen 12
uvas al son de las campanadas de las 12 de la media noche que dan a conocer la entrada al
año nuevo. Creo que originalmente era para rezar por una buena vendimia para el año
entrante ya que España es un país de vino. Pero me gustan más las
comidas secas también.
海ちゃん:もし日本だったら108個のぶどうを食べるのかにゃあ?除夜の鐘はゆっくりだから、もっと楽に食べられるけど、108個全部食べるのはお母さんでもムリだにゃ
Si la costumbre fuera japonesa, ¿comeríamos 108
uvas al son de las 108 campanadas? Así podríamos comer más cómodamente
pero ni mamá podría acabar con todas.
Gatito Umi-chan
以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.55(2005年05月末発行)』に掲載されたものです |
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