『月刊・スペイン語あれやこれや』 "Español
Variopinto,
Mensual"-I-08 |
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Emperatriz
「皇室典範に関する有識者会議」が「女性・女系天皇は不可欠」とする皇室典範の改正に関する報告書を小泉首相に提出した
朝日新聞が実施したアンケート調査によると国民の86%は女性天皇に賛成であるとのことだ。この保守的な国にあってこの数値はにわかには信じがたいが、少なくとも「絶対反対」は少数派だと理解してよいだろう
さて、内閣の半数を女性閣僚が占め、さらに同性同士の結婚を認める自治州もでてきた一歩先を行くスペインではどうだろうか。現行のスペイン憲法によると、女性にも国家元首への道は開かれているものの、同親等(兄弟)に男性がいない場合に限られており、王位は男性であることと長男であることを優先して継承される。しかし、現在の皇室典範が女性天皇の誕生に100%道を閉ざしていることを考えると、スペインは日本より進んでいると見ることができよう
王位に関し男性が女性に優先することを憲法で明確に定めているスペインで女性の国王が可能なのに対し、あらゆる意味での男女平等を明確にうたう日本国憲法下にある皇室典範は女性天皇を100%否定している。そこには矛盾がある
男子誕生が待ち望まれた皇太子妃雅子様が受けた心のプレッシャーはかなりのものだっただろうと想像する。心身に不調をきたした主な原因はそのことであったかも知れない。雅子様には気の毒ではあった。だが、不幸にも雅子様に男子が誕生しなかったことで、日本はより男女平等な社会に成長することができるかも知れないのだと考えると、「何が幸いするかわからない(No hay mal que por bien no venga)」ものだ
この「No hay mal que por bien no venga」は日常会話でもよく聞かれるRefrán(諺)だ。日本語では「一陽来復」、「禍福はあざなえる縄のごとし」あるいは「失敗は成功のもと」がこれにあたるだろう。実際、人生では何が失敗で何が成功かはにわかにはわからない
いずれにしても皇室典範が改正され女性天皇が可能になれば、初めて複数の女性閣僚を誕生させた小泉首相の功績も単なるパフォーマンスでは終わらず、はからずもジェンダー問題の進捗に弾みをつけた形ともなろう
似た諺に「No hay mal que dure cien años(100年も続く不幸はない/待てば海路の日和あり)」がある。状況は決して暗くない
Gatito Umi-chan
以上は、本塾のメールマガジン『e-yakuニュースNo.61(2005年11月末発行)』に掲載されたものです |
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