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スペイン語翻訳通訳

Instituto de Traducciones de Tokio

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"Umi-chan"

 

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「海ちゃんと映画」 "Umichan y Cine"  Temporada-III
 
       
主演  

  :

アダム・ロジャーズ
 アンディー・ガルシア ヴェラ・ファーミガ

製作年

2013
 原題名 AT MIDDLETON (ENAMORARSE)

ジャンル

コメディ/ロマンス
製作国 米国

(日本では公開されていないようです)

 

     

第十二話

 
  「AT MIDDLETON」というタイトルの「MIDDLETON」は地名なのですが、この単語は「Middle Age」の「Middle」に、スペイン語の「増大辞」の「-on/ ona」がくっついてできているように聞こえてしまい、「押しも押されぬ中年」という意味に頭が勝手に理解してしまいます。このタイトルとスチル写真から、りっぱに中年な男女の恋愛コメディーだろうと推測し、見始めました。この予測は外れてはいませんでした
  エディスは娘のオードリーに、ジョージは息子のコンラッドにつきそって大学キャンパスの見学会に参加します。ふたりはそれぞれ、これから大学生になる思春期真っ只中のご子息をお持ちで、彼らを通わせる大学を決めるために見学会に参加したのです。それまで二人には面識はありませんでした
  コメディー仕立てなので深刻さはないものの、エディスは神経がピリピリしがちでアグレッシブなもの言いをし、さらにココロここにあらずな状態です。朝から2杯もコーヒーを飲んでいるのに、もう3杯目を飲みたくなって落ち着きません。体の中に不満がいっぱい溜まっているのだなとわかります。ムズカシイ年頃の娘もしかり、すぐに気色ばみ、なかなかに攻撃的です
  映画の雰囲気も制作国も違うけれど、この母娘を見ていて、スペイン映画「さよならが言えなくて/
No sé decir adiós」のカルラのことを思い出しました。(2021年6月号の「映画の感想文コーナー」を見てね)
  エディスとジョージは、見学会で出会ってすぐにお互いにピンとくる「化学反応」を感じたようです。早々に見学会グループから離れ、息子と娘をグループに残して自分たちだけのキャンパス・ツアーに出かけるのでした。持ち主に無断で自転車を借りて移動。いろいろなところに勝手に忍び込んでは、積極的に楽しみ、強引に気分転換の一日を自分たち自身に演出しようとしているかのようです
  すっかり気分が若返ったエディスは鐘楼に一気に駆け登ります。思わず後を追い頂上まで登ってしまったジョージは実は高所恐怖症でした。そのことを悟られまいと彼は平常を装うのですが、エディスに強引に誘導され、高所から景色を眺める羽目になってしまったときに限界を超えてしまいます。気絶してしまったのです。心理療法に「暴露療法」というのがあるらしいのですが、こんなにいきなりでは危険なだけですね
  それでもジョージは平静をとりもどし、ふたりは何気ない会話をしながらキャンパス・ツアーを続けます。でも、「化学反応」が起こっているふたりの会話が核心の周辺をうろつくようになるまでに時間はかかりません
  さらに、ふたりは演劇クラスに紛れ込むのですが、講師は「聴講」を許さず、「全面参加」を要求します。夫婦会話のロールプレイを即興でやることになってしまいました。ここで、お互いの心情を知ることになり、このことが、ストーリー展開上の重要なターニングポイントになります
  こうして、たった数時間のうちに超高速回転でふたりは気持ちを通わせます。その手応えを得るや、今度はジョージが鐘楼に駆け上るのです。後を追う、エディス。なんと、ジョージは自分から進んで高いところに登ってしまったのです。自分が高所恐怖症であることを忘れてしまっているに違いありません。ジョージはこの上なくハッピーなのです。少なくとも今、ここでこのふたりはとてもシアワセなのです。それにしても、この即席さ、とってもアメリカンですね
  そして、切ないエンディング。この映画も、前述の「さよならが言えなくて」と同じように、「後は自分で考えてね」の未解決の課題を残し、すっきりハッピーエンドとはなりません。でも、大きく異なるのは、見ている者に強引に宿題を押しつけ、突き放して方向感覚を失わせるようなやり方ではないことです。エンディング音楽は切ないけれど力強く、澄んだフルートの音色は希望の春をサジェストしているのかもしれません。考えるテーマを与えてくれるいい映画でした
  時間的な奥行きもなく、家族関係を含めた社会関係的な広がりもなく、この映画は「今日、この場」でふたりに起こった出来事だけで構成されています。それだけに、この映画の完成度は主演のアンディ・ガルシアとベラ・ファーミガの魅力と演技力に依るところが大きいと言えます。なによりも、アメリカ映画ならではの陽気さは、見ている私達を飽きさせません。いい映画でした

アウトーラ:アンディ・ガルシアって名前は聞いたことはあるけど、って程度でした。なんとアンディはキューバからアメリカに移り住んだ移民家族の出身で、本名を、「Andrés Arturo García Menéndez」と言うそうです。思いっきりスペイン系の名前です。Youtubeで見たらスペイン語もたいへんにお上手です。この映画のジャケットの映像では、いかにも中流のアメリカ(白)人的な雰囲気を醸しているのですが、メガネをとると、なるほど、アル・パチーノのようなラテン色が濃い容貌です。アンディもゴッドファーザに出演しており、ドスの効いた迫力ある演技をしています。この映画、「At Middleton」に話を戻すと、はじめはアメリカのロマンス・コメディーということで、ドタバタやってハッピーエンドなのだろうと思って見ていたのですが、いい感じに期待を裏切られ、ビタースィートな味わいのとってもいい映画でした。海ちゃんはどう思った?
海ちゃん:
味つけは「さしすせそ」の順番でお願いしますにぇ。ビターなのは嫌いだにゃぁ。僕ちゃんはね、ふたりのピアノの連弾シーンがよかった。あんまり楽しそうに弾いていたので、思わずじゃれつきたくなったにょ。それに、「猫ふんじゃった」じゃないのが良かった。猫は踏んではいけませんのにゃ。この映画、ちょっとエッチな場面もあるから、良い子のみんなは大人になってから見てにぇっ
では、またにゃっ!
 
 

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