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スペイン語翻訳通訳

Instituto de Traducciones de Tokio

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Mascota
"Umi-chan"

 

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「海ちゃんと映画」 "Umichan y Cine"  Temporada-III
 
       
 原題名 América

製作年

2018
 製作国 米国

ジャンル

ドキュメンタリー

https://Américadocumentary.com/

 
 

     

第十三話

 
  舞台はメキシコColimaPuerto Vallerta
  ディエゴ、ロドリゴ、ブルーノの三人兄弟は、認知症がすすんで歩くのも難しくなった実のおばあちゃん、アメリカの世話をすることになりました
  それまでは、アメリカの息子で、三人兄弟の父親、ルイスが彼女と一緒に生活して世話をしていました。三人兄弟は、すでに皆、別々の場所で生活しており、ふだんは交流することもない状態でした。ところがアメリカがベッドから落ちたことが発端となって、ルイスが逮捕されてしまったのです。状況に不審な点があり高齢者虐待が疑われたためでした。アメリカは一人で生活することなどできません。そこで、世話をするためにまずディエゴが実家に戻りました
  ディエゴはロドリゴとブルーノにも連絡し手伝ってくれるよう頼みました。こうして、アメリカのもとに久しぶりに家族が再集合することになったのでした。ルイスが帰ってくるまでアメリカの介護をするために三人は実家で暮らし始めます
  芸達者で器用な三人は、レストランでサーカス的なパフォーマンスをしたり、観光客相手にサーフィンの指導をしたり、人々を集めてメディテーション教室をやったりと、力を合わせてたくましく生活費を稼ぎ出してゆきます
  でも、アメリカは排泄、着替え、食事、散歩、シャワーなど、生活のありとあらゆる場面に介護が必要なのです
  「生きている意味なんてないじゃないか。もう何もわかっちゃいないんだ。どこかに預けよう」とロドリゴ。ブルーノはアメリカを散歩に連れ出すも、いらいらしてしまい、怒鳴りつけたり無理やり歩かせようとしたりします。そんな二人に不信感を募らせ、ディエゴの不安はどんどん大きくなっていきます。そして、ついに、我慢ができなくなりディエゴはブルーノと取っ組み合いの喧嘩をしてしまいます。認知症のおばあちゃんと日常を一緒に過ごすことは、それ自体がストレスフルなのです
  きっと、三人の中でディエゴが一番のおばあちゃん子だったのでしょう。ディエゴはほんとうに愛しそうにアメリカに触れます。毎晩、排泄の介助でよく眠ってないのにもかかわらず、彼はアメリカの世話をしたあとアメリカに「ありがとう」と言うのです
  認知力が落ちているとはいっても、きっと、おばあちゃんには孫たちとのいい思い出がたくさんあったに違いありません。時を経て折り重なるように堆積した思い出の中から、小さかった孫たちの体温や匂い、アメリカの顔をペタペタと触る手の感触、抱っこしたときのやわらかい重さなどがふと浮かびあがっては、慈愛と感謝の気持ちにつつまれ幸福感が湧いてくるのでしょう。アメリカは孫たちのなすがままにされ身をまかせます。ほんとうにかわいいおばあちゃんです。長い時の流れを伴う幸福感は切なさを伴うものです。たくさんの困難や寂しさ、悲しさを乗り越えてもきたのでしょう。時折、アメリカはセンチメンタルになって涙を流します
  結局、そでの下を払ったことが功を奏し、ルイスの件は裁判には持ち込まれず、彼は家に帰ってきました。でも、ひとりで介護はできないと言います。行政は頼りにはならないし的はずれなことしかしてくれません。兄弟はアメリカを別の親類に頼んでもみましたが、結局うまくいかず連れて帰ってきました
  ラジオから流れる「ソラメンテ・ウナ・ベス」の曲にあわせてアメリカが口ずさみます
  それから二年、大きな透明の瓶を手に、ディエゴとブルーノが自動車の後部座席に座っています。ふたりのちょっと曖昧な、でも、晴れやかな笑顔が大写しになります。頬には涙のあと。手にしているのはおそらくアメリカの遺灰です。ディエゴたちは、最大限の努力をし、最善を尽くしてお世話をし、決して最後まで投げ出さなかった自分たちを誇りに思っています。だからこそ思い残すことは何もありません。それどころか、自分たちが、そして、他の誰でもないアメリカ自身が、不自由から開放されたことにすなおに安堵することができたのです
  América Capdeville Levas (1921-2017) 三人にとってアメリカは大切な歴史となりました

海ちゃん:おばあちゃんやおじいちゃんは、生きている間は、あくまでも「おじいちゃん」、「おばあちゃん」ですにゃ。でも、一旦死んじゃうと、「ご先祖様」になるにゃ。会ったことのないご先祖様って、お墓とか、仏壇とか位牌とか冷たいものばかり想像してしまうけど、ほんとうはもっと具体的で、個性があって、あったかくて、柔らかい存在だったんだにゃ

アウトーラ:ご遺体のことを「FIAMBRE」って言うって知ってた?
海ちゃん:
乂・д・)アカン!だめにょ〜!そんな不謹慎な言葉(戯語)を使っちゃあ。ごめんなさ〜い<(_ _)><(_ _)><(_ _)>しにゃさい。アウトーラは時々めちゃめちゃ場違いなことを言うからにゃあ。非常識にゃ乂・д・)アカン!
アウトーラ:
<(_ _)><(_ _)><(_ _)>。こうやって、孫たちにお世話され見送られて人生に幕を閉じることができたのは、アメリカがこの三人を本当に慈しんで育てたからだと思う。映画では、どうやら三人のお母さんは家を出ていってしまっているようだったから。私もボケたら海ちゃんに甲斐甲斐しく世話してもらいたいから、せいぜい今のうちにかわいがっておこうっと
海ちゃん:アウトーラ、計算高いのはだめにょ。それに、普通は猫のほうが先にヨボヨボになるのにゃ
では、また、来月、お会いしましょうにぇっ!
 
 

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