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スペイン語翻訳通訳

Instituto de Traducciones de Tokio

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Mascota
"Umi-chan"

 

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「海ちゃんと映画」 "Umichan y Cine"  Temporada-III
 
       
 原題名 Frank & Robot  製作年 2012
 スペイン語題名 Un amigo para Frank   カラー
 日本語題名 素敵な相棒 〜フランクじいさんとロボットヘルパー〜
 製作国 米国  監 督 : ジェイク・シュライアー
 出演 フランク・ランジェラ / スーザン・サランドン / ジェームズ・マースデン / リヴ・タイラー
 
 

     

第十六話

 
  この物語の主人公、フランクは痴呆症を患い始めている老人で、すでに一人暮らしの生活が難しくなってきていることに息子たちは気づいています
  父親を心配する息子のハンターは往復10時間の道のりを毎週通ってきて様子を見ています。とはいえ、ハンターにも自分の生活や家族がありいつまでもこの生活を続けるわけにはいきません。そこで、彼は奮発して父のために超高性能ヘルパーロボットを手に入れたのです
  ハンターの窮状を知ってか知らずか、娘のマディソンは、ロボットに父親を押し付けたと言ってハンターを非難します
  当のフランクも、「自分の世話ぐらいできる」と、最初はロボットを快く思いません。フランクの心身の健康を至上命令とするロボットが食事内容に配慮して口を出すと、「ほっといてくれ、ハンバーガーを食べて死ねたら本望だ」とフランク。「そしたら僕はどうなると思う?あなたの健康を守れなかった僕は失敗したのだから、記憶を消されて倉庫送りになってしまう」とロボット。なんと人間味あふれる言葉
  このロボットには高度な人口知能が搭載されており、人間と会話できるのです。現実には、いくら人口知能が途方も無いものであっても、ロボットがこんな風に人間的な会話をするようになるとは想像しがたいのですが、そんな貧困な想像力ではこの先が心配だと言われてしまうかもしれませんね。すでに2017年には高度な人口知能を搭載したヒューマノイド・ロボット、ソフィアがアミーナ・モハメド国連副事務総長と「人口知能(AI)と持続可能な発展」をテーマに会合をもったという事実があります
  さて、フランクですが、ロボットに身の回りの世話をしてもらううちにその存在がいつしか心の支えにもなって行きます。そして、ロボットがけっして自分を裏切らないと気づいたフランクは、ロボットを相棒に、若かりし頃の稼業であった宝石泥棒をやろうと思いつくのです。たいへんに息のあったコンビぶりで、ロボットはフランクとの会話の中から必要な情報を得て、足りない情報を明らかにしたり、リスクポイントを指摘したりと、フランクの計画を手伝います。そして、ふたりは狙った家に侵入し、まんまと宝石を盗み出してしまうのです
  泥棒稼業は感心できないけれど、ロボットは、フランクを心身ともに健康にするという使命をしっかりと果たしています。フランクのためなら嘘もつくし、盗みにも協力するロボット。人間味たっぷりです
  でも、そんなにうまくは行かないのが人生の常というもの。被害届が出され、警察がフランクを追ってきます。宝石泥棒の相棒をつとめたロボットのメモリーには一部始終が記憶されているはずです。もし、このメモリーが警察の手に渡ったらフランクは老いて再び刑務所送りになってしまいます。そうなったら刑務所で最期を迎えることになってしまうでしょう。すでにフランクとロボットにたっぷりと感情移入している観客としては、それはぜひ避けてもらいたいと手に汗をにぎります
  ロボットは自分の記憶を消すようにフランクに言います。主(あるじ)を守るために、自分から主体的に自己の記憶を消去するよう促すという、人格を感じさせる動きをしたのです。当然、フランクは決断できません。共有した時間とその記憶によって生じる相手への愛着は人間にとってかけがえのないものだからです
  「僕はメモリーを消去されても全然かまわない。あなたは生きていて思考する、故にあなたは存在する。でも、僕は生きてはいないんだ」と。こんな言葉をホンダのアシモくんみたいなロボットに言われたら、プログラムが、入力されたデータをプロセッシングして言葉を出力しただけなんて思えません。人間側から見れば、ロボットはすでに自分という主体と意思をもつ存在なのです
  証拠隠滅のために、ロボットに言われたとおり彼のメモリーを消すフランク。メモリーの消去が、認知の衰えた自分自身の記憶の喪失と重なり苦しかったことでしょう。そして、ロボットの記憶を消去することで、フランクは大切な友人を失ったのです
  認知症をわずらうフランクは、それ以上の法的な追求を免れ施設に入所します。そこで彼が見たのは彼の友人であったロボットと同じタイプのロボットに付き添われた老人たちでした
  離婚した妻がすぐ近くの図書館で働いており、たびたび言葉を交わしていたのに別れた妻だと気づかなかったフランク。ともすれば息子たちのことも曖昧になるフランク。そんなフランクが「宝石泥棒」という一大プロジェクトをやり遂げることができたのは、ロボットのおかげで正常な見当識を戻していたからに他なりません
  父親が合計16年間も刑務所に入っていた泥棒だったなんてことを想像させない、健全な大人に育った父親思いの息子と娘、そして優しく暖かい元妻。家族の状況設定が現実離れしているとは思うものの、主題はそこではなかったのだからいいと思います
  押し付けがましさのない映像や音楽が、静かなセンチメンタルを誘う映画でした。「生物、無生物、生きている、生きていない、主体と客体、自己と非自己、自分とか他人、存在するとかしないとか」という言葉たちの意味が、人間味あふれる機械仕掛けのロボットの前で混乱をきたし、頭のなかで静かにグルグルしてしまいました
  たとえフランクが彼のロボットを起動したとしても、「友人」はもう戻っては来ません。フランクの友達だったあのロボットの「魂」は消去されてしまったからです。そして、そんなロボットがいたこともフランクはじきに忘れ去ってしまったでしょう
海ちゃん:ロボットに介護を任せるなんて冷たい!!という発想はもう古くさい時代なのかもしれませんにぇぇ。あんな気は優しくて力持ちなロボットくんが僕ちゃんのお世話をしてくれたら、もう幸せにぇ。頼りになるからアウトーラがボケても大丈夫にぇ
アウトーラ:そうよね、海ちゃんじゃあ頼りなくて私も不安だから、あんなロボットがいるといいなぁ
海ちゃん:にゃんだ、「私をボケ老人あつかいするのか!!」って怒るのかと思ったにょ。気弱になってるにゃ。ここのところよく物忘れするからにゃぁ。Jijiはもっとひどいしにゃぁ。(´・ω・`)
JiJi:ひどいこと言うにゃぁ、海ちゃん。ところで、感想文を読んで思ったのは、映画に登場するロボットより、実在するヒューマノイド・ロボット、ソフィアのことのほうが衝撃的だね。この映画ができた時点ではまだソフィアはできてはいなかったのだけど、現実があっという間に映画に追いついている。ソフィアは今から4年以上前に米国の企業「ハンソンロボティクス」が2016年に開発したもので、顔の表情で人間のように感情表現をするし、Jijiみたいに(つまらない)冗談も言うらしいよ。相手との会話から表情や言葉を覚えて、経験を重ねるなかで学んで、どんどん人間的な反応ができるようになっていくというすごいロボットだ!Jijiィだけど僕ちゃんも男の子だからメカ好き!!
海ちゃん:さっきまでしんみりしていたのが嘘みたいにぇ。*ゴースト・ストーリーよりずっとこわい!では、また来月お会いしましょうにぇ!因みに、2022年2月22日は 800年ぶりのニャーニャーニャーの日にゃぁ。今年のは2が6つも!!! 次は200年後の2222年2月22日で2が7つだにゃぁ!!!!
参照:英語版日本語版
映画の中の印象的な言葉集:
Robot:¿Y qué será de mí, Frank, si mueres comiendo hamburguesas? ¿Qué crees que me pasará a mí? Habré fracasado. Me devolverán al almacén y me borrarán la memoria.
Robot:Tu salud es lo que importa. La verdad es que no me importa que me borren la memoria. Tu sabes que estás vivo. Piensas y luego existes. Yo sé que no estoy vivo.
Frank:No quiero hablar de tu no existencia.
 
 

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