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スペイン語翻訳通訳

Instituto de Traducciones de Tokio

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Mascota
"Umi-chan"

 

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「海ちゃんと映画」 "Umichan y Cine"  Temporada-III
 

 

 製作国 米国  製作年 2015
 原題名 A Walk in the Woods 米国人作家ビル・ブライソンの自伝的著作"A Walk in the Woods"(1998)の映画化作品
 日本名 ロング・トレイル
 スペイン語名 Un paseo por el bosque
 監督 ケン・クワピス
 出演 ロバート・レッドフォード、ニック・ノルティ、エマ・トンプソン
   
 

 
     

第七話

A Walk in the Woods
往年の美男子俳優、あこがれのロバート・レッドフォードがシワシワのおじいちゃんになってしまっています。1936年生まれということなので、この映画が制作された2015年時点で、79歳。しかたがないですね。でも、そのシワのひとつひとつが長い時間の経過と経験によって刻まれたのだとすれば、しわの中は知恵の宝庫かもしれません

ご老人にはその豊かな人生経験を踏まえた、存在自体が醸す味というものがあります。日本人のおじいちゃんやおばあちゃんをたとえて表現するなら、アジのさしみというよりは干物、アメリカのおじいちゃんやおばあちゃんなら、ステーキというよりはビーフジャーキーってところでしょうか。噛みしめると味わい深いですね

ロバート・レッドフォードは、いかにもおじいちゃんな感じがよく出ているのはいいのですが、トシのせいか、ちょっと演技が冴えない感じです。そんなレッドフォードを彼より5歳ほど若いニック・ノルティが名コンビ役のキャッツとして有り余る埋め合わせをしており、結果、こくのあるいい作品に仕上がっています

この映画は、選集を復刊した紀行作家、ブライソンがTVのインタビュー番組に出演するシーンから始まります。インタビューアーが「旅行をするのは変人
(Wrong Person)、まともな人(Right Person)は家にいる」という俳優ノエル・カワードの言葉を引用し、さらに、「欧州、豪州、英国と世界のあちこちを旅して紀行文を著しているのに、あなたの故郷、米国のものはひとつも書かれていませんね」と指摘されたことで、心に引っかかるものがあったのでしょう。あるいは「悪い人(wrong man)」と言われることを勲章のように思う男たるもの「いい男(ひと)(right man)」になってたまるか!という天の邪鬼(あまのじゃく)根性にスイッチが入ったのかもしれません

こうして故郷、米国のアパラチアン・トレイルは
2000マイル(3408km)を歩き通すことを計画したのです。「絶対にひとりで行ってはダメ」という妻のキャサリンが出した条件をのんで仲間に声をかけますが、誰からも良い返事はありません。皆、よれよれの老人なのです。唯一、この計画に乗ってきたのは誘ってもいないのに噂を聞きつけたキャッツでした。キャッツはとんでもない女たらしで、禁酒中の大酒飲み、過去にはヤクがらみの話もありそうです(このことは演じるニック・ノルティ自身の私生活ともリンクする部分があるようです)。おまけにキャッツの膝の関節はチタニウム製のものに交換されており軽くびっこを引いています。トレッキングの相棒として全くふさわしい相手ではありません。とは言え、他に選択肢もなく、キャッツを道連れにブライソンはこのロング・トレイルに挑むことになるのです

簡単にいうと、このふたりのおじいちゃんがひたすら山道を歩くお話です。思いのほか容易に前に進み続けられることもありますが、予想どおり、老体ゆえヒィヒィ、ハァハァ。判断ミスやバランス感覚の悪さから散々な目にあったり、運悪くクマと遭遇してしまったりと困難に満ちた冒険となります

道中、ノタノタ、ヨタヨタと足元のおぼつかない二人に、エネルギッシュなふたりの若者が爽やかに手を差し伸べようとします。年寄り扱いされたくないというプライドから、二人はこれを断ってしまいます。「いい奴らだな。でも嫌いだ」と若さに嫉妬するあたり、わかりやすい人たちです

ブライソンが誤って足を滑らせ、キャッツを巻き添えにして崖を落下、その途中にある狭い段状の場所でふたりきりで一夜を過ごすはめになってしまいます。何が良くて何が悪いのかは何事も即座には判断できません。いわば「良薬、口に苦し」、「失敗は成功のもと」。この不運で、悲惨で、不名誉な出来事がこの過酷なハイキングを成功に導く鍵となったことは間違いありません

あたりは暗くなり、もう誰も通りません。真っ暗な夜空に一面に散りばめられた何百万もの星々がまたたいています(映画中の博学多識なブライソンによると肉眼で見えるのは
2000個ほどだそうです)。死を覚悟し、これまでの人生を振り返りながら、ふたりは静かな諦観につつまれます。「諦めるな、頑張れ」とか「まだまだ若い!!」というイケイケな気持ちが、途方もない大きさの宇宙空間に吸い込まれてゆきます。そして、自分と、道中をともにしてきた相手との間にも、さらには、今はエネルギッシュな若者たちとの間にもさしたる差がないという本質に気づくのです。大自然の中で「生かされそして死んでゆく」普遍性の一部としての自分をそのまま受け入れたのです

翌朝、通りがかったふたりの若者に救い出されるふたり。この時、「いい奴らだな。好きだな」と素直に感謝します。この時点でこのトレッキングは成功したのです。人生の黄昏時、のんびりゆったりでいいではないですか。タフな若者に助けてもらってもいいではないですか。自分たちも若い頃、同じようにおじいちゃん、おばあちゃんを助けてあげたことがあるに違いありません。今度は自分たちが助けてもらう番が来たと素直に受け入れ、感謝すればいいのです

「自然を探検して自分の原点に戻りたい」と、分かったような、分からないようなことを言って出発しようとする夫を、妻は最後の別れを覚悟して送り出しました。そして、ぼろぼろに疲れた体で帰宅した彼を、彼女はやさしく迎えます

出発した時点ではブライソンは紀行文を書けるとは思っていませんでした。でも、今、4年半ぶりにやってきたインスピレーションをぎゅっと捕まえて、彼はこの映画の原作となる「
A Walk in the woods」を書き始めるのです。なによりも、このすばらしい体験を自分たちの胸のうちに閉じ込めておくのはあまりにももったいないと思ったのでしょう
アウトーラ:グレートスモーキー山脈の息を飲むような遠景、野山の緑や水の流れの美しさ。見ている私達も一緒に楽しめる映画でした。で、海ちゃん、アジの干物あたりで何かコメントしたそうですね
海ちゃん:僕ちゃんはアジの干物もビーフジャーキーも好きですにゃ。でも、「ビーフ」は大きすぎるので食べるより背中に乗る方がいいです…キャッツじぃさんはちょっとアクが強くてクサヤの干物的に醸された仕上がりになっているのがいいですにゃ。クサヤはクサいけど、まろやかですから。それにしても、よぼよぼのジィサンなのにふたりとも頑張りました!!僕はジジネコになったら「ビーフ」に乗って冒険に出ようと思いますにぇ!!!【僕とビーフの図】:
(Jamón Jamón)
みんなのツッコミ:海ちゃん!背中に乗れるのはビーフ じゃなくてブル
(Toro)だよ!!
  

では、またにぇ!

 
 

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